4輪車の場合、日本国内を走行しているうち9割以上がオートマチック車です。 又、2輪車でもスクーターの場合は、ベスパのビンテージモデルのような例外を除き、大半がオートマチック車です。
しかし、同じ2輪車でも、スポーツバイクの場合はマニュアル車が主流で、オートマチック車は非常にマイナーな存在となっています。それには、ライダーサイドの理由とメーカーサイドの理由があります。
ライダーサイドの理由としては、スポーツバイクを選ぶライダーは運転操作自体を楽しもうとする傾向が強い為、イージーライディングに対するニーズが少ない事が挙げられます。
オートマチックを搭載した750ccバイク「エアラ」
メーカーサイドの理由としては、スクーターのトランスミッションに採用されているCVTは、車体構造上の違いからそのままスポーツバイクに転用する事が出来ない為、コストを掛けて新規にトランスミッションを設計しなければならないからです。
1970年代にホンダが2速トルコン式オートマチックを搭載した750ccバイク「エアラ」を発売したものの、動力性能の不足やスポーティーさに欠けるフィーリングがライダーに受け入れられず、商業上失敗した事も遠因となっています。
しかし、近年はオートマチックトランスミッションの進歩や、メーカーの新規ユーザー層獲得への情熱に伴い、少数ながらオートマチックのスポーツバイクも市場に出回るようになっています。その方式は、AMT、DCT、HFT、シフターの4種類があります。
AMT
トランスミッションの基本構造はマニュアル車と同じで、クラッチ操作をアクチュエーターにより行うものです。 多少のシフトショックとトルク抜けはあるものの、構造がシンプルかつ軽量であるのがメリットです。
DCT
2系統のギアとクラッチを備える方式で、構造が複雑で重くなる反面、AMTよりも変速スピードが速く、変速ショックも少ないメリットがあります。
HFT
は油圧機械式無断変速機の事で、ホンダが独自に開発したトランスミッションになります。この方式は、斜板と呼ばれる部品を傾ける事で無段階に変速を行うもので、CVTのようなベルトのスリップがない為、無段変速機ながらダイレクト感に優れる特徴があります。
シフター
一種のギアシフトアシスト装置で、基本構造はマニュアル方式そのものであるものの、ごく短時間点火とインジェクションをカットする事で、クラッチとアクセルの操作をせずに変速する事を可能にしたものです。
いずれの方式も、CVTやトルコン式とは比較にならないダイレクトなフィーリングを持ち、イージーさとスポーツライディングを両立している点に特徴があります。