25歳の頃、中型2綸の免許を取りました。会社の仲間にバイク愛好家が多く、度々ツーリングに出掛けており、自分も参加したくなったからです。女性ライダーも約1名。風になびく髪、颯爽と運転する姿に目がハートでした。何度か後ろに乗せてもらい、スピード感、シフトチェンジする際の音、風を肌で感じる開放感などを実感し、バイクの虜になりました。自分で運転したい気持ちが抑えきれなく、活動的な私は両親に内緒で車校に通いました。反対されることが分かっていたからです。先手必勝の精神でした。
無事免許は取れ、いよいよ説得です。下手な小細工は不要と感じ、乗りたい気持ち、会社の仲間の話などを真剣に話ました。説得は意外にも簡単で、父も若い頃バイクに乗っていたようで、気をつけて乗るよう念を押されただけでした。
少しずつ練習を重ね
やはりバイクは危険も伴います。仲間から特訓を受け、少しずつ練習を重ねました。最初はコケル事が多いからと、中古のホンダVT250ccを仲間の紹介で購入しました。かなり安かったです。自分の体に合ったサイズで、しっかり操作でき、倒してもすんなり起こせます。スタンドを立てる際に何度か倒しましたので傷がつき、運転に慣れるまではコレで良かったと実感しました。
当初はやはり怖々運転ばかり。ガタガタの路面やカーブに慣れるのには時間がかかりました。しかし慣れればその分、自分で操作しているという自信と満足感が生まれます。車とは全く違う、スポーツ的な世界観です。仲間と近場のツーリングにも出掛け1年半ほど経ち、慣れてきた段階で新しいバイクを購入しました。同じホンダVT250ccの白地にピンクのラインが入った可愛いバイクです。確か50万円前後でした。
準備万端、予てから約束していた、女2人バイクツーリング旅のスタートです。まずは日帰りツーリングを2度程実施し、感触を確かめます。ガス欠あり、ガタガタ&下り坂&小雨の山道試練あり、道に迷う事件ありと、おきまりのトラブルを一通り体験しました。もちろん初心者の私が原因ですが…。
そして待ちに待った女2人信州ビーナスラインへのツーリング旅を決行しました。天気も良好。バイク小説の世界へ突入です。もちろん1泊泊まりです。高速道路は体験済みでしたので、余裕シャクシャク。しかしキャリアからか、お仲間がトラックと張り合った場面は笑えませんでした。危険です。高速を降りた後、要注意人物に任命しました。
気分はもう小説の主人公
景色の良い山道に差し掛かると、気分はもう小説の主人公です。「私は延々と続く林でアクセルをふかし、風と一体になった…」といった感じです。最高に幸せとはこんな感じなのだと実感しました。
女2人ですから、教会や牧場や湖など観光スポットは逃さず回り、その都度ソフトクリームやおやき、お団子などで気分を高めました。もちろん写真も撮りまくり。愛車と一緒に「はいチーズ!」の連続でした。駐車場に戻り、止めてある愛車を見ると愛おしくなります。私をここまで連れてきてくれて有難うという気持ちです。言ってみれば、戦国時代の愛馬のような感覚です。その日の宿は流行のペンションに泊まり、夜は宿の方とバイク談義に花が咲きました。次の日はビーナスラインの真骨頂、風になれる風景を我が物にし、満足と共に帰路につきました。
家に着き、無事ツーリングできた安堵感と充足感に包まれつつ、感じた事があります。長旅の最後には何時も感じるのですが、どんなに疲れていても「まだまだ走り続けたい」という思いです。バイクの魅力を語るにはこの一言が最適と感じます。思い出の写真を見ると、その生き生きとした表情に、あの頃の新鮮な感覚が蘇ります。