バイク好きの兄の友人が、2年間の期限付きで転勤が決まりました。バイクを持って行く事が出来ないと言う事で、弟の私に預かってくれないかと依頼されました。以前から顔見知りで、親しくしていましたので、快く引き受けました。そのバイクはベスパP200。古いバイクですし、時々走らないと具合が悪くなってしまうからという理由です。
届けられたベスパを見たときに、安請け合いしたのは失敗だったかもしれないと思いました。赤いボディは、白く幕がかかったような状態で、少しだけ見えるエンジンはオイルまみれでした。それでもキックを3回ほど踏み下ろすとポンポンポンと始動しました。初めて見た印象は「でかい」ということでした。街で見かけるベスパは50ccか100ccが殆どです。あの可愛らしいモデルですね。
ベスパP200って、こんなバイク↓
ボディのワックス掛けから
それに比べて200ccとなると、やけに巨大で手に負えるかどうか不安になりました。メカに詳しい訳ではありませんから、ボディのワックス掛けから始めました。レッド専用っていうワックスを買ってきて、タオル2枚を真っ赤にしながらきれいにしました。次にオイルがびっしり付着したリアのホイルをきれいにして、仕上げにタイヤワックスで綺麗にしました。
タイヤは山も残っており、走るのに不安は感じませんでした。車体が綺麗になると、突然イタリアの女性が微笑みかけているような、全く別のバイクになったような感じでした。外見を綺麗にしてから、馴染みのバイク屋に行き、ブレーキの調整など、細かいところを調整してもらいました。
ギアチェンジに慣れるまでが大変
肝心の走りですが、ベスパはクラッチ付きの5段変速です。それもクラッチを握りながらグリップ事態を回していくというタイプです。このギアチェンジに慣れるまでが大変です。何回エンストしたことか。走り出してからも、ギアを上げていくときは調子よくいくのですが、シフトダウンしてコーナーに入る時は、ぎくしゃくしてしまいます。
おまけに大変だったのは、何といっても「目立つ」ことです。慣れるまではエンストしたり、ギアチェンジでガチャガチャしてると注目されている気がして、汗をかきました。でも、お洒落をして街を流しているときの気分はとても良かったですよ。慣れてからも、決して乗りやすいバイクとは言えなかった気がします。リアタイヤの片側にスペアタイヤが着いているために、左右の重量バランスが悪いのです。
ドラマにもよく登場したベスパ 探偵物語、工藤ちゃんの愛車もベスパだった
いつもタイヤを若干持ち上げながら走るような感じです。コーナーに入る時に、タイヤのついている側には、がくんと倒れこむ感じです。コツが必要でした。給油すれば、混合ですからメジャーで測ってオイルをガソリンタンクに入れて、フロントブレーキをかけて、車体をユサユサ揺らして混ぜるわけです。シートの下が、今でいうメットインのような物入れになっていて、いつも1リットルのオイル缶を入れていました。ベスパとの2年間はイタリアからきたやんちゃなレディと楽しい語らいを続けたような2年間でした。