1984年に欧州初のミニバンとして誕生した「ルノー・エスパス」は、1991年2月に7年ぶり初のフルモデルチェジを受け、2代目モデルに移行しました。プラットフォームやドライブトレイン、マトラ社の設計によるスチール製フレーム+FPR製ボディのスケルトン構造などを受け継ぎながら、ボディサイズの拡大やV6エンジン搭載車の追加など上級志向が強められました。
丸みを帯びたスタイリングに変貌
先代同様オールヒンジ式ドア採用の5ドアモノボックス型ボディは、8ライトウィンドウや強い傾斜の付けられたAピラーなどの特徴も受け継ぎながら、やや丸みを帯びたフォルムに変貌しました。ボディサイズは全長4,429mm×全幅1,795mm×全高1,693mmで、先代から全ての項目で拡大された一方、ホイールベースは同一の2,580mmが踏襲されました。
又、車両重量は先代から100kg以上増加し、1,320~1,430kgとなりました。駆動方式は先代同様縦置きFFがベースで、引き続きビスカスカップリング式フルタイム4WDの「クワドラ」も設定されました。フロントに搭載されるエンジンは、先代からキャリオーバーされた2L直4SOHC/2.2L直4SOHCガソリンNA及び2.1L直4SOHCディーゼルターボに加え、2.8L V6SOHCガソリンNAが用意されました。
エンジンは全て電子燃料噴射仕様に
ガソリンエンジンの混合気供給方式は、先代ではキャブレターが使用されていた2Lを含め全車に電子燃料噴射方式が採用されました。アウトプットは、ガソリン2Lが最高出力104ps/最大トルク16.2kgm、同2.2Lが最高出力108ps/最大トルク17.3kgm、同2.8Lが最高出力152ps/最大トルク22.8kgm、ディーゼル2.1Lが最高出力89ps/最大トルク18.5kgmでした。
尚、これらのユニットの内、先代ではフランス本国や世界各国で販売されたガソリン2Lは、主にイタリア市場向けとなりました。先代同様の5速MTを介しての最高速度は、ガソリン2L FF仕様が173km/h、同2.2L 4WD仕様が170km/h、同2.8L FF仕様が195km/h、ディーゼル2.1L FF仕様が162km/hとなっていました。
又、ブレーキは先代同様全車にフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用された他、パワーアシストが備わるラック&ピニオン式のステアリング形式も共通でした。一方、室内も先代同様に3列シート7人乗り仕様となる一方、デザインが一新されると共に質感の向上が図られました。その後同年秋に、V6エンジン搭載車に4速トルコン式AT仕様が追加されました。
そして1997年にフルモデルチェンジが実施され、3代目モデルに移行しました。2代目エスパスは、ライバル車の出現にも関わらず、初代モデルに引き続き好調な販売を維持しました。