1984年に欧州初のミニバンとして誕生した「ルノー・エスパス」は、2014年10月のパリ・ショーにおいて11年ぶりにリニューアルされた5代目モデルが披露され、翌2015年に市販が開始されました。先代からプラットフォームが一新されると同時に、基本コンセプトが従来の居住性優先のミニバン路線から、高級感を追求したクロスオーバー路線に変更されました。
エンジンをダウンサイジング
ボディタイプは従来同様8ライトウィンドウの5ドアながら、スタイリングはそれまでのモノボックス型から、流麗かつアグレッシブなフォルムが備わる1.5ボックス型に変貌しました。又、ロングホイールベース仕様の「グランドエスパス」は廃止され、標準仕様「エスパス」に一本化されました。
ボディサイズは全長4,857mm×全幅1,870mm×全高1,680mm、ホイールベースは2,870mmで、全長・全幅及びホイールベースは先代グランドエスパスにほぼ等しく、全高はそれよりも低く設定されました。車両重量は1,609~1,659kgで、先代から大幅に軽量化されました。駆動方式はFFを踏襲し、エンジンはラインナップ刷新と共に大幅にダウンサイジングされました。
用意されるのは、1.6L直4DOHCガソリンターボ(最高出力200ps/最大トルク26.5kgm)と、2種類の1.6L直4DOHCディーゼルターボ(最高出力131ps/最大トルク32.6kgm及び最高出力160ps/最大トルク38.7kgm)で、トランスミッションは6速MTの他、従来の4速トルコン式ATに代わりガソリンには7速の、ディーゼルには6速のDCT「EDC」が設定されました。
又、サスペンション形式はフロントはマクファーソンストラット式を踏襲する一方、リアは独特なトレーリングアーム+パナールロッド式に代わり、オーソドックスなトーションビーム式が採用されました。更に、4輪操舵システムと可変ダンパーを組み合わせた「4コントロール」が設定された事が特徴でした。
安全装備を強化
一方室内は、従来同様2-3-2シート配列の7人乗り仕様となるものの、1/2列目の居住性が重視され、3列目は補助シート的な位置付けとなりました。又、インパネのデザインは先代のセンターメーター方式から、メータークラスターが運転席正面に備わるオーソドックスなレイアウトに変更されると共に、縦型のタッチ式スクリーンが備わる大型コンソールが採用されました。
更に安全装備面では、衝突被害軽減ブレーキや前車追従型クルーズコントロールをはじめ、車両接近警告システムや駐車支援システムが採用されるなど、先代から大幅に強化されました。グレード体系は、下から「ゼン」「インテンス」「イニシャル・パリ」のラインナップで、4コントロールはイニシャル・パリのみに標準装備されます。