イギリスの高級スポーツカーメーカーであるアストンマーティン・ラゴンダは、2007年8月に2+2シーター仕様の新型グランツーリスモ「DBS V12」を発表しました。DBSの車名を冠するモデルとしては35年ぶりのリリースで、既存のフラッグシップモデル「DB9」とレーシングカー「DBR9」を融合した高性能モデルと位置付けられました。
カーボン素材の多用により軽量化
カーボンファイバー素材の多用により軽量化が図られたボディのバリエーションは、当初はフィクスドヘッドの2ドアクーペのみの設定でした。エクステリアは、DB9/DBR9の流れを汲む流麗かつエアロダイナミックなフォルムが採用されました。ボディサイズは全長4,721mm×全幅1,905mm×全高1,280mmで、DB9から若干拡大されていました。
ホイールベースは同一の2,740mmで、車両重量は15kg軽い1,695kgに抑えられていました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンはDB9譲りの5.9L V12DOHCをベースにチューンナップを図ったものが搭載されました。アウトプットは最高出力517ps/6,500rpm・最大トルク58.1gm/5,750rpmで、DB9から61psの出力向上を果たしていました(※最大トルクは同一)。
トランスミッションはDB9同様に6速MTと6速トルコン式AT「タッチトロニック」が設定され、前者を選んだ場合のパフォーマンスは最高速度302km/h・0-100km/h加速4.3sでした。この数値は、DB9の6速MT仕様と比較すると最高速度で2km/h勝り、0-100km/h加速タイムは0.6s短縮されていました。サスペンション形式は、DB9と同様の4輪ダブルウィッシュボーン式が踏襲されました。
また、4輪ベンチレーテッド・ディスク式を踏襲するブレーキは、ディスクローター径がフロントは355mm→398mmに、リアは330mm→360mmに拡大されていました。ホイール&タイヤは、フロントが8.5J×20インチホイール+245/35×20タイヤ、リアが11J×20インチホイール+295/30×20タイヤの組み合わせで、DB9からワイド&大径化が図られていました。
映画「007 慰めの報酬」アストンマーティン DBS V12登場シーン
コンバーチブルや特別仕様車を追加
また、タイヤの銘柄は「ピレリPゼロ」が採用されました。その後2009年に、2ドア・ソフトトップコンバーチブルの「DBSヴォランテ」が追加されました。ボディサイズはクーペと同一で、パワートレインも共通でした。次いで2010年、特別仕様車として専用の内外装色が備わる「カーボンブラックエディション」および「UB-2010リミテッド」がリリースされました。
さらに2011年9月のフランクフルトショーにおいて、カーボン製の専用内外装パーツや手の込んだ専用塗装が備わる「DBSカーボンエディション」が発表されました。そして2012年に後継モデル「ヴァンキッシュ」がデビューしたことにともない、生産終了となりました。