ランチアは2001年のジュネーブ・ショーで、1995年にリリースした2代目「カッパ」に代わるプレミアムモデル「テージス」を発表しました。1998年のパリ・サロンに出展されたショーモデル「ディアロゴス」のコンセプトを受け継ぎ、1950年代に生産された名車「アウレリア」をモチーフとする、レトロとモダンが融合したエクステリアデザインが採用されました。
セダンボディに一本化
ボディタイプは、2ドアクーペやステーションワゴンも用意されたカッパと異なり、4ドアセダンのみの設定となりました。スタイリングは、やや凡庸なイメージのあったカッパから一転し、個性的なフロントマスクやリアビューなどインパクト溢れるものとなりました。ボディサイズは全長4,888mm×全幅1,830mm×全高1,465mmで、カッパから全長が200mm以上延長されました。
又、ホイールベースも100mm程長い2,803mmとなった他、車両重量も大幅に増加し1,680~1,750kgとなりました。サスペンション形式は、カッパの4輪マクファーソンストラット式からリアがマルチリンクに変更されました。4輪ディスク式を踏襲するブレーキは、カッパではフロントのみだったベンチレーテッド型がリアにも採用されました。
エンジンはガソリン3種類+ディーゼルでスタート
当初の搭載エンジン及びグレードは、2L直5DOHC ターボ(最高出力186ps/最大トルク31.4kgm)の「2.0ターボ」、2.4L直5DOHC NA(最高出力170ps/最大トルク23kgm)の「2.4 24V」、3L V6 DOHC NA(最高出力215ps/最大トルク26.8kgm)の「3.0V6」のガソリングレード3種類と、2.4L直5SOHCディーゼルターボ(最高出力150ps/最大トルク31.1kgm)の「2.4JTD」が用意されました。
トランスミッションは6速MTの他、3Lガソリン車と2.4Lディーゼル車にはアイシンAW製の5速トルコン式ATが設定されました。一方インテリアは、アルカンターラのシートやウッドをあしらったインパネ、Bピラーにも備わるエアコン吹き出し口、BOSE製のオーディオシステムなど、ランチアのプレステージモデルらしく豪華な仕様となっていました。
そして2005年に、「アルファロメオ・GTA」に採用されていた3.2L V6 DOHC NAエンジンのデチューン版(最高出力229ps/最大トルク29.5kgm)を搭載する「3.2 V6 24V」が追加されました。同時に、2.4Lディーゼルターボ車がDOHC&4バルブ化されて「2.4 20V JTD」となり、アウトプットが最高出力175ps/最大トルク38.8kgmに向上しました。
テージアはイタリア本国では公用車として使用されたものの、商業的にはカッパ同様成功したとは言えませんでした。そして、後継モデルが登場する事もなく2009年に生産終了となりました。日本市場には、ガレージ伊太利屋の手により少数が輸入されました。