日産のプレミアム・ミニバン「エルグランド」は、1997年5月に、モーター系店で「キャラバンエルグランド」、プリンス系店で「ホーミーエルグランド」の車名で発売が開始されました。国産大型ミニバンの先駆け的な存在となった他、ファーストクラス並みの広大かつ快適な移動空間をテーマとしたコンセプトが特徴でした。
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従来のワンボックス車とは異なるスタイリング
スタイリングは、短いノーズを備えるセミキャブオーバー型で、従来のワンボックス車「キャラバン」「ホーミー」にはないゴージャスかつスマートな雰囲気を醸すものでした。キャラバンエルグランドとホーミーエルグランドのエクステリアデザインは共通で、エンブレムのみの相違でした。又、後席用スライドドアを左側のみに備える4ドアで、乗車定員は7人及び8人でした。
ボディサイズは全長4,740mm×全幅1,775mm×全高1,940mm~1,945mmで、キャラバン/ホーミーのロングボディタイプよりも全長と全幅が大きい一方で全高は若干低く、ホイールベースはそれよりも20cm以上長い2,900mmでした。車両重量は、200kg~400kg程重い1,930kg~2,140kgでした。又、エンジンをボンネット内に納める事により、低床化を実現した事が特徴でした。
エンジンはガソリンとディーゼルの2本立て
サスペンション形式はキャラバン/ホーミーとは全く異なり、フロントがストラット式、リアにはコントロールロッド付5リンク/コイル式が採用されました。駆動方式はキャラバン/ホーミー同様FRがベースで、他にトルクスプリット式フルタイム4WDが設定されました。エンジンは、3.3L V6ガソリンNAのV33E型と3.2L直4ディーゼルターボのQD32ET1型 の2種類が用意されました。
スペックは、ガソリンが最高出力170ps/4,800rpm、最大トルク27.1kgm/2,800rpm、ディーゼルが最高出力150ps/3,600rpm、最大トルク34kgm/2,000rpmで、トランスミッションは全車に4速トルコン式ATが搭載されました。グレード体系は上から「X」「V」「J」の3種類で、快適装備に差が付けられるものの、デュアルSRSエアバッグシステムやABSといった安全装備は全車に標準装備されました。
日産 エルグランドのCM
新グレードを追加し、エンジンをリニューアル
翌1998年1月に、「V」をベースにしたスポーティグレード「ハイウェイスター」が追加されました。専用フロントグリルやエアロパーツなどにより差別化が図られたモデルで、全長が15mm、全幅が25mm、全高が10mm拡大されました。次いで同年10月、フロント回転対座シートやセカンド回転横向きシート、電動ピュアクリーンカーテンなどを装備するグレード「ラウンジパッケージ」が追加されました。
翌1999年8月に初のマイナーチェンジを実施し、外装に若干の変更を行った他、ディーゼル車のエンジンが3L直噴ターボのZD30DDTiに置換されました。スペックが最高出力170ps/3,600rpm、最大トルク36kgm/1,800rpmに向上した他、燃費が約25%向上しました。同時に、車名が「エルグランド」に一本化されました。次いで同年10月に、オーテックジャパンによる特別仕様車「ライダー」が発売されました。
翌2000年8月に2度目のマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトと共に「ハイウェイスター」以外のグレードにフロント&リヤラウンドソナーを標準装備した他、グレード体系の変更(「J」が廃止され「Xリミテッド」が追加)が行われました。同時に、ガソリン車のエンジンが3.5L V6のVQ35DE型に置換され、スペックが最高出力240ps/6,000rpm、最大トルク36kgm/3,200rpmへと大幅に向上しました。
初代エルグランドは、それまでの国産車にはなかったデザインやコンセプトが大変な好評を博し、大型かつ高価な車種であったにも関わらずベストセラーカーとなりました。又、エルグランドのヒットに触発されライバルのトヨタから対向車種として「アルファード」が登場し、両雄の販売合戦が繰り広げられるきっかけにも繋がりました。