GM(ゼネラルモーターズ)は1955年、シボレー・ブランドより新型ステーションワゴン「ノマド」を発売しました。2年前にデビューした高級2ドアハードトップ/コンバーチブル「シボレー・ベル・エアー」のステーションワゴン・バージョンと位置付けられたモデルで、斬新かつ個性的なスタイリングがセリングポイントでした。
ボディは3ドアワゴンのみ
ボディタイプは3ドアステーションワゴンのみの設定で、スタイリングはAピラーから前は基本的にベル・エアーと共通のイメージながらも、フロントグリルは専用の意匠が採用されました。また、リアまわりは一般的なステーションワゴンとは異なり、短いノッチが備わる独特な造形が採用されていました。
ボディ・サイズは全長5,006mm×全幅1,880mm×全高1,577mmで、ベル・エアーよりも若干大きいディメンションでした。ホイールベースは2,921mmで、ベル・エアーと同一でした。サスペンション形式はベル・エアー同様、フロントが独立懸架/コイル式、リアがリジッド・アクスル/リーフ式で、ステアリング形式もリサーキュレーティング・ボール式が踏襲されました。
エンジンは直6とV8を用意
駆動方式もコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンは当初3.9L直6OHV(最高出力123hp/最大トルク28.6kgm)と4.3L V8OHV(最高出力162hp/最大トルク35.5kgm)の2種類が用意されました。また、4.3Lエンジンには、4バレルキャブレターを装備するなどのチューニングにより最高出力を180hpに高めた「パワーパック」がオプション設定されました。
これらのエンジンに組み合わせられるトランスミッションは、コラム式の3速MTまたはOD付3速MTでした。ブレーキは、当時として一般的な4輪ドラム式が採用されました。また、室内は前後ともベンチシート仕様で、乗車定員は6名でした。その後1955年後半に、4.3Lエンジンをさらに高圧縮化し、最高出力を195hpまで高めたオプション「スーパーパワーパック」が設定されました。
次いで翌1956年にフェイスリフトが実施され、エクステリア面ではフロンドグリルの意匠などが変更されました。また、インテリア面ではパッド付のインパネやショルダーハーネスなどの採用により、安全性の向上が図られました。次いでモデル末期となった1957年には、4.6L V8OHVエンジンが追加されました。
チューニングの異なる3種類が用意され、スペックはそれぞれ最高出力220hp/最大トルク41.5kgm、最高出力250hp/最大トルク42.2kgm、最高出力283hp/最大トルク40.1kgmとなっていました。そして同年にフルモデルチェンジが実施され、スタイリングを近代化するとともに5ドア化した2代目モデルに移行しました。