1989年に「レクサス・LS」の国内版としてデビューを飾ったトヨタのプレミアムサルーン「セルシオ」は、2000年8月に2度目のフルモデルチェンジを実施し3代目モデルとなりました。先代からスタイリングが一新されると共に、パワートレインの刷新により動力性能が向上、更に静粛性や環境性能にも磨きが掛けられるなど、熟成が進んだモデルとなりました。
空力特性に優れたボディ
スタイリングは、曲線を多用した流麗なフォルムに生まれ変わり、Cd値は先代の0.28を更に上回る0.25を実現しました。発売当初のボディサイズは全長4,995mm×全幅1,830mm×全高1,470mmで、全長と全幅は先代と同一で全高のみ55mm高くなりました。又、ホイールベースが75mm延長され2,925mmとなった一方、最小回転半径は0.1m縮小され5.2mになりました。
初期型の車両重量は1,780~1,840kgで、先代後期型から40~60kg程重くなりました。サスペンションは先代同様の4輪ダブルウィッシュボーン式を踏襲する一方で、「B仕様」に設定されていた電子制御スプリング「ピエゾTEMS」は廃止されました。グレードごとの採用スプリングは、「A仕様」「B仕様」がコイル式、「C仕様」は改良が加えられたエア式でした。
エンジンを4.3Lに拡大
駆動方式は先代同様FRで、エンジンは4L V8の1UZ-FE型から4.3L V8の3UZ-FE型に置換され、最高出力こそ規制の関係で先代同様の280psに留まったものの、最大トルクは2.8kgmアップの43.8kgmとなりました。同時に、平成12年基準排出ガス75%低減レベルを実現するなど、環境性能も向上しました。トランスミッションは、発売当初は先代同様の5速トルコン式ATでした。
グレード体系は前述の3つの仕様に加え、A仕様及びB仕様に欧州仕様サスペンションや17インチアルミホイールが備わる「eRバージョン」が設定されました。又、C仕様には、後席用パワーシートやバイブレーターが備わる「Fパッケージ」、セミアリニンレザーを多用したインテリアが備わる「インテリアセレクション」、両者の装備を併せ持つ「Fパッケージインテリアセレクション」が設定されました。
M/Cで燃費が向上
安全装備面では、全車にSRS6エアバッグシステム、EBD付きABS、ブレーキアシスト、横滑り防止装置「VSC」、トラクションコントロールなどが備わりました。そして2003年8月にマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトによりフロント廻りやリア廻りのデザインが一新されると同時に、ATが6速化され10.15モード燃費が0.7km/L向上し8.9km/Lとなりました。
又、グレード体系も見直され、B仕様が廃止されると共にeRバージョンが独立したグレード「eR仕様」となりました。その他、ボディスペックも変更になり全長が20mm延長され5,015mmとなった他、車両重量も増加し1,800~1,870kgとなりました。そして2006年5月に生産を終了、後継モデルは国内でも海外市場同様「レクサス・LS」として発売された為、セルシオとしてはこのF30型がラストモデルとなりました。