BMWのフラッグシップサルーン「7シリーズ」は、初代モデルが1977年にデビュー、5代目となる現行型は2008年11月に欧州で発表され、2009年3月から日本での販売が開始されました。先代からホイールベースを延長しゆとりある居住性を実現した他、パワートレインの刷新により動力性能と燃費が向上、また各種装備の充実が図られました。
ノーマル/ロング共に全長とホイールベースを延長
スタイリングは先代のイメージを受け継ぎながら、キドニーグリルの大型化やL型テールランプの採用などによりリフレッシュが図られました。ボディは先代同様ノーマル・ホイールベース仕様とロング・ホイールベース仕様がラインナップされ、全長のみ前者が5,070~5,080mm、後者が5,210~5,220mmと異なる以外は、1,900mmの全幅と1,485mmの全高は同一となっています。
先代と比較すると共に全長が30~40mm延長された他、ホイールベースもそれぞれ80mm延長され前者が3,070mm、後者が3,210mmとなっています。車両重量はやや増加し、1,980~2,310kgとなっています。サスペンションは、フロントが先代のストラット式からダブルウィッシュボーン式に変更、リアは先代同様のインテグラルアーム式が基本で、当初ロング・ホイールベース仕様のみエアサスペンションが採用されました。
エンジンは全車ターボ化
駆動方式は全車BMW伝統のFRで、発売当初の日本仕様のエンジン及びグレードは、3L直6ツインターボ(最高出力326ps/最大トルク45.9kgm)の「740i」(ショート)及び「740Li」(ロング)、4.4L V8ツインターボ(最高出力407ps/最大トルク61.2kgm)の「750i」及び「750Li」の4種類でした。トランスミッションは全車6速トルコン式ATでした。
装備面では、同社初の後輪操舵システムを備える可変ギアレシオステアリングの「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」の採用がトピックでした。そして同年7月に、6L V12ツインターボエンジン(最高出力544ps/最大トルク76.5kgm)と8速トルコン式ATを搭載するトップグレード「760Li」が追加されました。いずれのグレードも、ターボ化によりパワーアップと燃費改善が図られました。
改良により燃費を改善し装備を拡充
続いて同年9月に、スポーティーな内外装が付加されるセットオプション「Mスポーツパッケージ」が設定されました。次いで2012年9月にマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトやメーターパネルのデザイン変更を行うと共に、「前車接近警告機能」「衝突回避・被害軽減ブレーキ」「レーンディパーチャーウォーニング」から構成される「ドライビングアシストプラス」が「740i/Li」以外に標準装備されました。
同時に「740i/Li」と「750i/Li」のパワートレインがリニューアルされると共に、燃費改善に貢献する「ECO PROモード」が設定されました。前者はエンジンを最高出力320ps/最大トルク45.9kgmを発生する3L直6シングルターボに置換すると共に、ATが8速化され、後者はエンジン型式は同一ながら、スペックが最高出力450ps/最大トルク66.3kgmに向上しました。
この改良に伴い燃費は前者が約50%、後者が約40%向上しました。その他、ノーマル・ホイールベース車のリアサスペンションもエアサス化されるなど、足回りにも改良が加えられました。次いで2013年8月の一部改良の際には、事故発生時に通信機能を用いてサポートする「BMW SOSコール」や「BMWテレサービス」、タッチパッド付の「iDriveコントローラー」が全車に標準装備されました。
そして2014年8月の一部改良では、新インフォテインメントシステムの「BMWコネクテッドドライブ・プレミアム」や、左右後方の死角を走行する車両の存在を知らせる「レーンチェンジウォーニング」が全車に標準装備された他、「ドライビングアシストプラス」が「740i/Li」にも標準装備されるなど、装備の拡充が図られました。