トヨタのミディアムクラス・ミニバン「ウィッシュ」の初代モデルは、2003年に「イプサム」などとは異なるスポーティーな味付けを持ったミニバンとして登場、そして2009年4月にフルモデルチェンジを実施し、2代目の現行型となりました。初代モデルのコンセプトを踏襲しながらも、パワートレインの刷新により燃費改善を実現しました。
ボディは、先代同様のオールヒンジドア採用によるステーションワゴン風フォルムを受け継ぎながら、Aピラーの位置を前進させる事で一層スタイリッシュに変貌しました。ボディサイズは全長4,590~4,600mm×全幅1,695~1,745mm×全高1,590~1,600mm、ホイールベースは2,750mmで、全長が僅かに拡大された以外は先代と同一の数値となります。車両重量は若干増加し、1,340~1,430kgとなっています。
1.8L/2L共にエンジンを一新
駆動方式は先代同様FFとフルタイム4WDが設定される他、プラットフォームを踏襲する為サスペンション形式も同一で、前:ストラット式/後:トーションビーム式(FF)・ダブルウィッシュボーン式(4WD)となります。搭載エンジンは先代から一新され、1.8L直4の2ZR-FAE型と2L直4の3ZR-FAE型がラインナップされると同時に、トランスミッションが全車CVTに一本化されました。
発売当初におけるエンジンのスペックは、2ZR-FAE型のFF車用が最高出力144ps/最大トルク17.9kgm、同4WD車用が最高出力133ps/最大トルク16.7kgmで、3ZR-FAE型が最高出力158ps/最大トルク20kgmでした。燃費は、先代から0.8~1.6km/L向上しました。室内は3列シート仕様で、先代同様に7人乗りをメインとしつつ、一部グレードに2列目キャプテンシート採用の6人乗りが設定されました。
相次ぐ改良で燃費が更に向上
発売当初のグレード体系は、「1.8X」「1.8S」「2.0G」「2.0Z」の4種類でした。そして同年12月に一部改良を実施し、「1.8X」のFF/4WD車と「1.8S」4WD車の燃費が、オルタネーターやバッテリーの制御変更により0.4~0.8km/L向上しました。次いで翌2010年4月の一部改良では、「1.8S」FF車にも同様の改良が加えられ、燃費が0.4km/L向上しました。
続いて2012年4月に初のマイナーチェンジを実施し、内外装デザインを一部変更すると共に、新グレード「1.8A」と「1.8G」が追加されました。同時に、1.8L車/2L車共にエンジンに改良が加えられ燃費が向上しました。但し最高出力・最大トルクは若干低下し、2ZR-FAE型のFF車用が最高出力143ps/最大トルク17.6kgm、同4WD車用が最高出力130ps/最大トルク16.4kgm、3ZR-FAE型が最高出力152ps/最大トルク19.7kgmとなりました。
そして2015年5月に一部改良を実施し、CVTの改良により燃費が向上した他、全車のフロントドアガラスにスーパーUVカットガラスが採用されました。現行型ウィッシュは発売当初こそベストセラーカーになったものの、2013年以降は年間販売台数ランキングで30位圏外に去るなど、近年の人気は低迷傾向となっています。