大きくコンセプトチェンジした新型オデッセイ
ホンダから発売された5代目となるオデッセイに試乗してきた。
これまで、オデッセイと言えばミニバンとしては低いプロポーション、リアがヒンジドアでスポーティーミニバンを標榜してきた。しかし、今回は大きくコンセプトを変え、頑なに守っていた上記2つの特徴をかなぐり捨て、全高を140-150mm上げ、リアをスライドドアにするなど大幅に変更が施された。
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4代目と違い「デカい・広い」
ホンダのお家芸とも言える低床プラットフォームと、大きく上げた全高、スライドドアによって、乗り込みやすく、車内の移動も楽、3列目シートも広々としている。これまでのオデッセイファンからすると、「なんで変えちゃったんだよ!」というくらい、今までとは別のクルマになっている。と言うのも、ホンダのLクラスミニバンの販売は近年では好調とは言えず、1クラス上のエリシオン、そしてオデッセイも苦戦していた。なので、今回のフルチェンジでオデッセイとエリシオンは統合され、ネームバリューの高いオデッセイとして再出発を図ったといえる。
内装の質感はけっこう上等の部類に入ると思う。でも3代目あたりが出た時のような先進性を感じるようなデザインではなく、良くも悪くも普通。ちょっとトヨタ車的な印象を受ける。ナビゲーションはスマホを意識してタッチ操作がスマホ風になったが、見た目がチャチに見えてしまい、見てて嬉しくなるものではない。この辺はiphoneあたりの質感をもっと勉強した方が良いと思う。
試乗してみて:いい意味でソツのない、悪い意味で特徴を失った
上級モデルのアブソルートを試乗したが、あまり良い印象は得られなかった。静粛性が高いかと言うとそうでもなく、格下のステップワゴン、セレナよりも「ちょっと良いかな」くらい。決してうるさくはないけど、静かさに感動するほどでもない。また、加速性能もソコソコ。決してパワフルさは感じない。2名乗車でそう感じたので、7人、8人乗車だと、かなりダルな印象なると思う。最近のクルマは前と違って燃費追求型なので、アクセルレスポンスはかなりマイルドな設定に振っているからだと思うが、スポーティーさを期待して購入すると「あれ??」ってなってしまうかもしれない。
また、乗り心地もあまり良くない。見た目のスポーティーさを演出するために大径ホイールが装備されているが、乗り心地にはマイナスしかもたらさない。かと言ってホイール径が小さな標準モデルはアブソルートと比べるとかなり貧素に見えてしまう為、購入する時は見た目か乗り心地か、二者択一を求められると思う。悩ましい所だ。
総括:トヨタ的、やや無難なミニバンになった5代目オデッセイ
乗る前から嫌な予感はしていたが、乗ってみてもやっぱり感じたのは「無難な車になってしまった」という事。売れ筋のパッケージングになった事で、今まで敬遠していた人も購入対象になるので販売台数は増加すると思われるが、ちょっと面白味に欠ける印象が否めない。
初代から振り返ってみると、1代目、2代目は比較的大衆受けする味付けだったので、3代目、4代目がちょっと独自路線に振り過ぎて、5代目で戻って来たとも言える。出来ればエリシオンが持っていた高級感を受け継いでほしい面はあるが、クラスが0.5個分下がったのでしょうがないかもしれない。いずれにせよ、アルファード・エルグランドでは大き過ぎる・高すぎる、かと言ってステップワゴンではファミリー過ぎると感じている人にはピッタリ。たぶん、そう考えている人は少なくないと思うので、5代目オデッセイは悪くない選択だと思う。