ダイハツ工業は1963年4月に同社初の4輪車「コンパーノ・ライトバン」を発売した後、同年11月にその乗用セダン版となる「コンパーノ・ベルリーナ」を追加しました。そして1965年4月、そのベルリーナをベースにした2ドア4シーター仕様のソフトトップカブリオレ「コンパーノ・スパイダー」をリリースしました。
1Lツインキャブエンジンを搭載
ボディは、ベルトラインから下はイタリアのコーチビルダー「カロッツェリア・ヴィニャーレ」によりデザインされたベルリーナと基本的に共通で、そのフォルムは「シューティングライン」と呼ばれました。又、キャンバストップはワンタッチタイプの折り畳み式が採用された他、マフラーは2本出しタイプが装着されました。
ボディサイズは全長3,795mm×全幅1,445mm×全高1,350mmで、全長・全幅はベルリーナと同一、全高のみそれよりも60mm低く設定されました。ホイールベースはベルリーナと共通の2,220mmで、車両重量は50kg増加し790kgとなっていました。サスペンション形式は、フロント:ダブルウィッシュボーン/トーションバー式・リア:リジッド・リーフ式が踏襲されました。
駆動方式も同じくFRで、エンジンはベリーナ用の800cc直4OHVシングルキャブレター仕様のFC型をベースに、排気量を拡大すると共にSUツインキャブレターを装備したFE型が採用されました。スペックは最高出力65ps/最大トルク7.8kgmで、FC型から24ps/1.3kgmのアウトプット向上を果たしていました。
トランスミッションは、ベルリーナよりもギアレシオが低められた4速フロア式MTが採用されました。最高速度はベルリーナを35km/h上回る145km/h、0-400m加速は18.5sという動力性能を備えていました。その他の機構面では、4輪デュオサーボ式ドラムブレーキやボール・ナット式のステアリング形式などは、ベルリーナと共通でした。
タコメーターを装備
一方タイヤサイズは、ベルリーナの5.00-12に対し、よりワイドな6.00-12が装着されました。又、室内は木目調パネルや3本スポーク式ステアリングホイールの採用など、基本的にベルリーナの上級グレード「デラックス」と共通のイメージで纏められた一方で、メーターパネルはタコメーターを追加した丸型4眼式となり、ベルリーナとの差別化が図られました。
装備面では、ベルリーナ・デラックス同様にラジオやヒーター、シガーライターなどが標準装備されました。そして1967年4月のマイナーチェンジでフロントマスクが変更されると共に、フロントブレーキがディスク化されました。次いで1968年6月に実施された2度目のマイナーチェンジでは、フロントグリルやテールランプの意匠が変更されました。
そして同年中をもって生産を終了、翌年にベルリーナの後継モデルとして登場した「コンソルテ」にはカブリオレは設定されず、同社のオープンモデルは1991年発売の「リーザスパイダー」まで途絶える事となりました。