フォード・モーターは2000年、新型コンパクトSUV「エスケープ」を発売しました。当時傘下に収めていたマツダとの共同開発により誕生したモデルで、マツダからリリースされた「トリビュート」とはプラットフォームや基本メカニズムを共有する姉妹車種の関係にありました。また、欧州や中国では「フォード・マーベリック」の車名で販売されました。
オリジナル設定のボディを採用
プラットフォームはマツダ製をベースとした「フォードCD2プラットフォーム」で、それに架装されるボディタイプは5ドアのみの設定でした。また、トリビュートに似たエクステリア・デザインを持っていたものの、ボディ外板の大半は別設計となっていました。ボディサイズは全長4,394mm×全幅1,780mm×全高1,702mm、ホイールベースは2,619mmでした。
このディメンションは、全高が若干低い事を除きトリビュートとほぼ同等でした。駆動方式は、オンデマンド型フルタイム4WDとFFが設定されました。エンジンは当初、フォード製の2L 直4(最高出力129ps/最大トルク18.7kgm)および3L V6(最高出力203ps/最大トルク27.6kgm)が用意されました。トランスミッションは前者に5速MTが、後者に4速トルコン式ATが組み合わせられました。
サスペンションは、トリビュート同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:マルチリンク式による4輪独立懸架式を採用しながら、よりオフロードでの走破性や乗り心地を追求したセッティングが施されました。また、安全装備面では、SRSデュアル&サイドエアバッグシステムやEBD付ABSなどが標準装備されました。
直4エンジンをマツダ製に置換
グレード体系は、当初「XLS」「XLT」の2タイプだったものの、2002年に上級グレード「XLTスポーツ」が追加されました。さらに2003年には、最上級グレード「リミテッド」が追加されるとともに、全車のサスペンションやトランスミッションに改良が加えられました。そしてこの年の最大のトピックは、直4エンジンがマツダ製の2.3L(最高出力155ps/最大トルク21kgm)に置換された事でした。
次いで2004年、2.3L直4エンジン(最高出力135ps/最大トルク17.9kgm)と電気モーターを組み合わせたスプリット式ハイブリッドユニットを搭載するハイブリッド車が追加されました。そして2007年、北米ではフルモデルチェンジが施された2代目モデルに切り替えられました。その一方で、日本を含むアジア地域では初代モデルが継続販売されました。
日本への初上陸は2000年12月で、当初は2Lエンジンおよび3Lエンジン搭載のXLTのモノグレード設定でした。ドライブトレインは全車4WD+ATとなる他、右ハンドル仕様のみが設定されました。次いで2003年11月に改良版に切り替えられると同時に、2Lエンジンが2.3Lエンジンに置換されました。続いて2004年2月、特別仕様車としてリミテッドが設定されました。
そして翌2005年1月に、リミテッドがカタロググレードに昇格しました。次いで2006年6月、アジア地域向け限定のフェイスリフト版に切り替えられるとともに、3Lエンジン搭載の新グレードXLTスポーツが追加されました。続いて2008年にもフェイスリフトが実施されると同時に、XLTスポーツがカタログ落ちしました。
次いで2009年11月に最後のフェイスリフトが実施されるとともに、リミテッドのエンジンが2.3Lに置換されました。そして2013年9月、日本での販売が終了となりました。
マツダブランドでの兄弟車:トリビュート
後継モデル:2代目エスケープ