フォード・モーターは2005年、リンカーン・ブランドから新型アッパーミドル・セダン「ゼファー」を発売、その後2007年に車名が「MKZ」に改められました。追って登場したフォード・ブランドの「フュージョン」やマーキュリー・ブランドの「ミラン」とは、プラットフォームやボディパネルの多くを共有する姉妹車種の関係となりました。
独自のフロントマスクで差別化
「フォードCD3プラットフォーム」に架装されるボディは4ドアセダンのみの設定で、スタイリングはコンサバティブなイメージながら、リンカーン・ブランドならではの押し出しの効いたフロントグリルが持ち味となっていました。ボディサイズは全長4,839mm×全幅1,834mm×全高1,420mmで、ホイールベースは2,728mm、車両重量は1,547kgでした。
駆動方式はゼファー時代はFFのみの設定で、パワートレインは3L V6DOHCの「デュラテック30エンジン」(最高出力224ps/最大トルク28.3kgm)と6速トルコン式ATの組み合わせが採用されました。サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式で、ブレーキはフロントがベンチテーテッド型の4輪ディスク式(ABS付)が採用されました。
また、タイヤは前後とも225/50R17サイズが装着されました。一方室内は、ウッド製のインパネやステアリングホイールの採用などにより、リンカーン・ブランドのモデルらしい高級感が演出されていました。装備も豪華で、10ウェイパワーシートやデュアルゾーンエアコン、CDチェンジャー付オーディオシステム、クルーズコントロールなどが標準装備されました。
車名変更と同時にエンジンを置換
そして2007年に車名がMKZに変更された際に、フロントグリルの意匠などが変更されました。同時に、エンジンが3.5L V6DOHC(最高出力267ps/最大トルク34.5kgm)に置換された他、フルタイム4WD仕様が追加されました。次いで2008年に仕様変更が実施され、リアパーキングセンサーやタイヤ空気圧監視システムなどが標準装備されました。
次いで2010年モデルでマイナーチェンジが実施され、新世代リンカーン車に共通するフロントグリルが与えらるなど、内外装の意匠が変更されました。また、機構面ではサスペンションの改良や6速ATのリニューアルなどが実施され、装備面ではHIDヘッドランプやオートワイパー、リアビューカメラなどが採用されました。
続いて2011年モデルでハイブリッド仕様が追加されました。搭載されるハイブリッドユニットは、アトキンソンサイクル採用の2.5L直4エンジン(最高出力191ps)と電気モーターを組み合わせたもので、モーターのみでの走行となるEVモードで最高76km/hの速度を出す事が可能でした。そして2012年にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。