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フォード T型フォード (モデルT 1908-1927):マスプロによる大量生産が行われベストセラーカーに

T型フォード Touring (モデルT 1908-1910)

戦前に製造された乗用車として最も有名なモデルであるフォード・モーターの「T型フォード(モデルT)」は、前身である「モデルN」の後継モデルとして1908年にデビューを飾りました。史上初めてベルトコンベアによるマスプロダクション生産が行われた画期的なモデルで、完成度の高さや低廉な価格設定により、累計で約1500万台が生産される世界的なベストセラー&ロングセラーカーとなりました。

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初期モデルはオープンボディのみを用意

T型フォード Touring (モデルT 1908-1910)

シャシーは当時として一般的だったラダーフレーム式で、それに架装されるボディは、発売当初は「ツーリング」と呼ばれる折り畳み式の幌が備わるオープンボディのみの設定でした。ドアは後席のみに備わり、前席の左右は開放型となっていました。スタイリングは、簡素な前後フェンダーやランニングボード、独立した大径ヘッドランプなど、1900年代モデルに共通するクラシカルな出で立ちを備えていました。

T型フォード Speedster (モデルT 1914)

ボディサイズは全長3,404mm、全幅1,676mmで、ホイールベースは2,540mmに設定されていました。車両重量は、初期型で544kgでした。駆動方式はFRで、エンジンは2.9L水冷4ストローク直4SV(サイドバルブ)ホリー・シングルキャブレター仕様(最高出力20hp/1,400rpm・最大トルク11.3kgm/1,000rpm)が搭載されました。トランスミッションは足で操作を行う独特な2速半自動式が組み合わせられ、最高速度78km/h(標準デフ仕様)の性能を発揮しました。

T型フォード Paddy Wagon (モデルT 1921)

サスペンション形式は前後とも横置きリーフ・スプリング採用のリジッド・アクスル式で、ブレーキはリアのドラムブレーキの他、変速機と一体化されたセンターブレーキが装備されました。ステアリングは独特な遊星ギア式で、ステアリングホイールの位置はそれまでのフォード車が右であったのに対し、左が標準となりました(輸出向けに右ハンドル仕様も設定)。

フィクスドヘッド・ボディを追加

T型フォード Fordor Sedan (モデルT 1925-1926)

その後、新たなボディ・バリエーションとして、オープンボディ・2シーター仕様のロードスターやランナバウト、フィクスドヘッド・ボディ採用の2シーター・クーペや2ドア/4ドアセダン、後席部分のみフィクスドヘッド・ボディ化したタクシー向けモデル「タウンカー」など、さまざまなタイプがラインナップに加えられました。

T型フォード Roadster (モデルT 1927)

それから4年後の1927年、後継モデルの「モデルA」にバトンタッチして生産終了となりました。T型フォードは、発売されてからしばらくの間は先進的なモデルであったものの、その後基本メカニズムの変更が行われず、また車両重量の増加にも関わらずエンジンに改良が加えられなかったため、モデル末期には旧態化や動力性能の低下が顕著となっていました。

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