フォード・モーター(ヨーロッパ・フォード)から1985年にリリースされた中型乗用車「スコーピオ」は、1994年に9年ぶりにして初のフルモデルチェンジを受け、Mk2に移行しました。基本メカニズムは先代譲りでコンベンショナルな設計が踏襲されたものの、内外装デザインは一新され従来から大きくイメージを変えました。
個性的なスタイリング
プラットフォームは一新され、「フォード・パンサー・プラットフォーム」が採用されました。ボディタイプは5ドアハッチバックが廃止され、4ドアセダンと5ドアステーションワゴンの2タイプのラインナップとなりました。スタイリングは、先代よりも丸みを帯びたフォルムに変貌するとともに、フロントマスクおよびリアエンドに個性的な意匠が採用されました。
ボディサイズは全長4,825mm(セダン)/4,826mm(ステーションワゴン)×全幅1,760mm×全高1,388mm(セダン)/1,442mm(ステーションワゴン)で、先代から全長が延長された他、セダンは全高が低められました。ホイールベースは2,770mmで、先代から10mm延長されました。駆動方式は、先代の一部モデルに設定のあったフルタイム4WDが廃止され、FRに一本化されました。
エンジンは当初、2L直4DOHC 8V仕様(最高出力115ps/最大トルク17kgm)および同16V仕様(最高出力136ps/最大トルク17.9kgm)、2.9L V6DOHC 12V仕様(最高出力150ps/最大トルク23.4kgm)および同24V仕様「コスワース」(最高出力210ps/最大トルク28kgm)のガソリンNA4種類と、2.5L直4SOHCディーゼルターボ(最高出力115ps/最大トルク27.5kgm)が用意されました。
これらのエンジンに組み合わせられるトランスミッションは、従来同様5速MTまたは4速トルコン式ATでした。ブレーキは、フロントは全車ベンチレーテッド・ディスク式で、リアはグレードによりベンチレーテッド・ディスク式またはソリッド・ディスク式が採用されました。また、先代同様全車にABSが標準装備されました。
グレードは3タイプ
グレード体系は、下からベースグレードの「エグゼクティブ」、アルミホイールやエアコン、電動ドアミラーなどが装備される中間グレード「ギア」、レザー&パワーシートやCDチェンジャー付きオーディオ、クルーズコントロールなどが装備される上級グレード「ウルティマ」の3タイプのラインナップでした。
その後1996年に、ガソリン2.3L 直4DOHC NA 16V仕様エンジン(最高出力147ps/最大トルク20.6kgm)搭載車が追加されるとともに、2.5L直4SOHCディーゼルターボエンジンのアウトプットが最高出力125ps/最大トルク29.9kgmに高められました。次いで1998年にフェイスリフトが実施され、フロントグリルやリアコンビネーションランプの意匠が変更されました。
そして1998年に生産終了となり、スコーピオの車名は2代をもってフォードのラインナップから消滅しました。