BMWのCセグメントコンパクトカー「1シリーズ」は、「3シリーズコンパクト」の後継車として2004年に初代モデルがデビューし、2011年9月のフルモデルチェンジにより2代目の現行型となりました。先代からボディを拡大した事でユーティリティーが改善された他、パワートレインの刷新により動力性能と燃費性能が向上しました。又、ボディバリエーションが整理された事も特徴となります。
ハッチバックに一本化
ボディのバリエーションは、先代が3ドア/5ドアハッチバックと2ドアクーペ/カブリオレがラインナップされていたのに対し、現行型は2ドアクーペ/カブリオレが「2シリーズ」に移行した為、ハッチバックのみの設定となりました。スタイリングは、先代からロングノーズ化を図ると共に新デザインのフロントマスクを採用した事で、イメージを一新しました。
ボディサイズは全長4,335~4,340mm×全幅1,765mm×全高1,430~1,440mmで、先代より一回り拡大されると同時に、ホイールベースも30mm延長され2,690mmとなり、後席とカーゴスペースが拡大されました。車両重量は1,400~1,560kgで、先代よりやや重くなりました。サスペンション形式は、先代同様の前:ダブルジョイント・ストラット式/後:5リンク式が踏襲されました。
発売当初日本仕様に設定されたエンジンは、新開発された1.6L直4直噴ガソリンターボのみで、エントリーグレード「116i」には燃費重視仕様(最高出力136ps/最大トルク22.4kgm)が、上級グレード「120i」にはパフォーマンス重視仕様(最高出力170ps/最大トルク25.5kgm)が搭載されました。トランスミッションは共に8速に多段化されたトルコン式ATで、駆動方式はBMW伝統のFRが踏襲されました。
又、新たにアイドリングストップ機構や減速エネルギー回生システム、電動パワーステアリング、ガソリン消費量を低減する「ECO PROモード」を採用し、同一グレード同士の比較で燃費が約20%改善されました。一方インテリアは、インパネのデザインが先代の直線基調のものから抑揚あるデザインに変更され、エクステリア同様イメージを一新しました。
グレード体系は、「116i」「120i」共に標準グレードの他、内外装をスポーティーに仕立てた「Sport」とスタイリッシュに仕立てた「Style」が設定されました。更に2012年5月、専用の内外装やスポーツサスペンション、17インチアルミホイールなどの採用により更なるスポーティーな走行性能を追求した「Mスポーツ」が「116i」「120i」共に設定されました。
ホットハッチ版を追加し装備も充実
続いて同年8月に、3L直6ターボエンジン(最高出力320ps/最大トルク45.9kgm)を搭載すると共に、専用チューニングされたサスペンションや強化ブレーキ、専用の内外装を備えるホットハッチ「M135i」が追加されました。トランスミッションは標準モデル同様の8速トルコン式AT、駆動方式も同様にFRで、0-100km/h加速4.9sのパフォーマンスを実現しました。
次いで2013年8月に一部改良を行い、全車にタッチパッドを備える「iDriveナビゲーションシステム」と、事故発生時に通信機能を使ってサポートする「BMW SOSコール」や「BMWテレサービス」が標準装備されました。同時に、「前車接近警告機能」「衝突回避・被害軽減ブレーキ」「レーンディパーチャー・ウォーニング」などから構成される「ドライビングアシスト」がオプション設定されました。
そして2015年5月にマイナーチェンジを実施し、フロントマスクとリアビューのデザインが一新され精悍なイメージに変貌を遂げました。同時に「116i」のグレード名が「118i」に変更された他、ベースグレード「118i」を除く全車に「ドライビングアシスト」が標準装備されました。又、「120i」シリーズが177psに、「M135i」が326psにとそれぞれパワーアップを果たしました。