BMWのCセグメント・コンパクトカー「1シリーズ」の初代モデルは、2004年9月にパリ・サロンでデビューを飾りました。E86型「3シリーズコンパクト」の後継モデルであると同時に、同社として初めて2ボックス型ハッチバックボディが用意されたモデルでした。このクラスのライバルは全てFF方式を採用する中で、唯一FR方式が採用されたことがセリングポイントでした。
まずは5ドアハッチバックから
ボディタイプは当初5ドアハッチバックのみの設定で、同社のアイデンティティであるキドニーグリルが備わるボディは空力特性が追求され、Cd値0.29を実現していました。ボディサイズは全長4,227mm×全幅1,751mm×全高1,430mmで、3シリーズコンパクトよりも全長が僅かに短く、ホイールベースもそれより短い2,660mmに設定されていました。
駆動方式はフルタイム4WDの設定はなく全車FRで、前後重量配分は同社伝統の50:50を実現していました。エンジンは当初、1.6L直4(最高出力115ps/最大トルク15.3kgm)および2L直4(最高出力150ps/最大トルク20.4kgm)のガソリンNAと、2種類の2L直4ディーゼルターボ(最高出力122ps/最大トルク28.6kgmおよび最高出力163ps/最大トルク37.7kgm)が用意されました。
トランスミッションは6速MTが標準で、オプションで6速トルコン式ATが設定されました。サスペンション形式は、フロントにダブルジョイント・スプリング・ストラット式、リアにマルチリンク式が採用されました。また、安全性能・走行性能向上に係る機構として、「DSC」(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)や「DBC」(ダイナミック・ブレーキ・コントロール)などが装備されました。
ボディ・バリエーションを拡大
その後翌2005年に、3L直6ガソリンNAエンジン(最高出力265ps/最大トルク32.1kgm)を搭載する最上級グレード「130i」が追加されました。次いで2007年1月にマイナーチェンジが実施され、フロントマスクの意匠変更と同時に3ドアハッチバックが追加されました。追って同年7月には、より長く低い3ボックス型のボディを持つ2ドアクーペがラインナップに加わりました。
エンジンは、3L直6ガソリンNAと2L直4ディーゼルターボのほか、3L直6ガソリン・ツインターボ(最高出力296ps/最大トルク41.4kgm)が用意されました。さらに同年10月、クーペをベースとしたソフトトップカブリオレ「カブリオレ」が発表されました。そして2011年にハッチバックのフルモデルチェンジが実施され、現行F20型に移行しました。
一方、クーペおよびカブリオレは2013年まで生産が継続され、同年後継モデルの「2シリーズ」に後を譲り生産終了となりました。日本市場においては、2004年10月にまず5ドアハッチバック「116i」(1.6L+6AT)と「120i」(2Lガソリン+6AT)が導入され、2005年10月に「130i Mスポーツ」(3L NA+6MT)が、2006年9月に「118i」(2Lガソリン+6AT)が追加されました。
次いで2008年2月に「135iクーペ」(3Lターボ+6MT/6AT)が、翌3月に「120iカブリオレ」(2Lガソリン+6AT)が追加されました。