初代モデルが1976年にデビューしたBMWのラグジュアリー・クーペ「6シリーズ」は、1989年に「8シリーズ」に後を譲り一旦同社のラインナップから姿を消したものの、2003年9月のフランクフルト・ショーでその後継モデルとなる2代目6シリーズ(E63/64型)が発表され、14年ぶりの復活を遂げました。初代および8シリーズがクーペのみの設定であったのに対し、カブリオレも用意されたことが特徴でした。
まずはV8エンジン搭載のクーペをリリース
ボディタイプは、発売当初はフィクスドヘッドボディの2ドアクーペのみが用意されました。スタイリングは、直線基調のボディラインを備えていた初代や8シリーズとは対照的な、丸みを帯びた流麗かつモダンなフォルムに変貌を遂げていました。また、ヘッドランプは8シリーズのリトラクタブル式から異形の固定式に変更され、フロントマスクのイメージも一新されました。
同時に空力特性も追求され、Cd値は0.29を実現していました。ボディサイズは全長4,820mm×全幅1,855mm×全高1,373mmで、8シリーズから全長と全高が若干拡大されていました。また、ホイールベースも100mmほど長い2,780mmに設定されました。駆動方式は伝統のFRを踏襲し、エンジンは当初、8シリーズにも搭載された4.4L V8DOHC(最高出力333ps/最大トルク45.9kgm)のみが用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは6速MTまたは6速トルコン式ATで、最高速度はともに250km/h、0-100km/h加速は前者が5.6s、後者が5.9sでした。サスペンション形式は、フロントがダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式、リアがインテグラル・アーム式で、ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。
カブリオレと直6エンジン車を追加
グレードは「645Ci」のモノグレード設定でした。そしてクーペの発売から程なくして、電動ソフトトップが備わる「645Ciカブリオレ」がラインナップに加わりました。次いで翌2005年には、3L直6エンジン(最高出力258ps/最大トルク30.6kgm)を搭載する「630i/630iカブリオレ」が追加されました。
続いて2006年、645Ci/645Ciカブリオレに代わり、4.8L V8エンジン(最高出力367ps/最大トルク49.9kgm)を搭載する「650i/650iカブリオレ」が設定されました。さらに翌2007年には、630i/630iカブリオレに搭載される3L直6エンジンのアウトプットが最高出力272ps/最大トルク32.1kgmに向上しました。そして2011年にフルモデルチェンジが実施され、現行モデルに移行しました。
日本市場においては、2003年10月にまずクーペ645Ci(6速AT仕様)が導入され、翌2004年2月に645Ciカブリオレ(6速AT仕様)が追加されました。追って同年10月にクーペ630i(6速AT仕様)がラインナップに加わり、2005年10月には645Ci/645Ciカブリオレが650i/650iカブリオレ(6速AT仕様)に置き換えられました。