BMWのラグジュアリー・クーペ/カブリレオ「6シリーズ」は、初代モデル(E24型)が1976年にデビューしました。1968年にリリースされた「CSクーペ」の後継モデルとして位置付けられ、基本メカニズムを踏襲しながらもボディが拡大されるとともに、美しいスタイリングが備わっていました。その後、13年間に渡り生産が続けられるロングセラーカーとなりました。
クーペボディのみを用意
ボディタイプは、カブリオレも用意された2代目以降と異なり2ドアクーペのみの設定で、エクステリア・デザインはCSクーペと比較して遥かにモダンかつ洗練されたものとなりました。ボディサイズは全長4,775mm×全幅1,725mm×全高1,365mmで、CSクーペから全長が140mmほど延長されていました。一方、ホイールベースは同等の2,626mmでした。
駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンは当初、CSクーペからキャリオーバーされた3L直6SOHCソレックス・シングルキャブレター仕様(最高出力185ps/最大トルク26.5kgm)および同ボッシュLジェトロニック燃料噴射仕様(最高出力200ps/最大トルク29.6kgm)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、4速MTまたは3速トルコン式ATでした。
グレード名はキャブレターモデルが「630CS」、燃料噴射モデルが「633CSi」で、MT仕様のパフォーマンスは前者が最高速度210km/h・0-100km/h加速8.9s、後者が最高速度216km/h・0-100km/h加速7.9sでした。サスペンション形式は、CSクーペと同一のフロント:マクファーソンストラット式/リア:セミトレーリングアーム式が踏襲されました。
さらにパワフルな高性能版を追加
また、ウォーム&ローラー式のステアリング形式や、4輪ディスク式のブレーキ形式もCSと共通でした。その後1978年に、前後にスポイラーが備わるボディに3.5L直6SOHCボッシュLジェトロニック燃料噴射仕様エンジン(最高出力218ps/最大トルク31kgm)+5速MTを搭載し、最高速度225km/hの性能を持つ「635CSi」が追加されました。
次いで翌1979年に630CSがカタログ落ちし、代わって2.8L直6SOHCボッシュLジェトロニック燃料噴射仕様エンジン(最高出力184ps/最大トルク24.5kgm)を搭載し、最高速度212km/hの性能を持つ「628CSi」が設定されました。続いて1982年に最初のマイナーチェンジが実施され、サスペンションの刷新や内装の一部変更が行われました。
さらに1983年には、スーパーカー「M1」譲りの3.5L直6DOHCボッシュ・モトロニック燃料噴射エンジン(最高出力286ps/最大トルク34.7kgm)を搭載し、最高速度254km/h・0-100km/h加速6.7sの性能を誇るハイパフォーマンスモデル「M635CSi」が追加されました。次いで1987年に2度目のマイナーチェンジが実施され、衝撃吸収バンパーの採用とともに全長が40mm延長されました。
同時にエンジンの制御が変更されたほか、ATが4速に多段化されました。そして1989年、後継モデル「8シリーズ」に後を譲り生産終了となりました。