BMW車をベースとしたチューンドカーの生産で知られるドイツのアルピナ社は、1993年に3代目E36型「BMW・3シリーズ(325i)」をベースとしたハイパフォーマンスバージョン「B3 3.0」シリーズを発売しました。どの3シリーズよりもはるかに優れた性能を持つ一方で、BMW自らが生産するハイパフォーマンスモデル「M3」と比較するとグランドツアラー的な性格が与えられていました。
3L直6エンジン搭載でデビュー
ボディタイプは、当初は4ドアセダンの「B3」と5ドアステーションワゴンの「B3ツーリング」、そして2ドアクーペの「B3クーペ」の3タイプが用意されました。エクステリア・デザインは基本的に3シリーズと共通ながら、フロントスポイラーや専用アルミホイールなどにより差別化が図られていました。空力特性の指標となるCd値は、セダンの場合で0.32でした。
セダンのボディ・ディメンションは全長4,433mm×全幅1,698mm×全高1,373mm、ホイールベース2,700mmで、ベースモデルから全高が20mm低められていました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは325i用の2.5L直6DOHCをベースに排気量を3Lまで拡大したものが搭載されました。スペックは、最高出力250ps/5,700rpm・最大トルク32.6kgm/4,400rpmでした。
325iと比較すると、58ps/7.1kgmのアウトプット向上を果たしていました。組合せられるトランスミッションは5速MTで、最高速度255km/h・0-100km/h加速6.1sという駿足(※セダンの数値)を発揮しました。サスペンション形式は、ベースモデル同様のフロント:シングルジョイント・ストラット式/リア:セントラルリンク式が踏襲されました。
その一方で、専用チューニングが施されるとともに、フロントにアンチダイブコントロール機構が採用されました。また、ブレーキはベースモデル同様のフロント:ベンチレーテッド・ディスク式/リア:ソリッド・ディスク式を踏襲しつつ、こちらも強化を図った専用品が装備されました。タイヤはフロントが235/40ZR17、リアが265/35ZR17で、ベースモデルから大幅にワイド&扁平化が図られていました。
排気量を3.2Lに拡大し性能が向上
その後1994年に、排気量を3.2Lまで拡大し、アウトプットを最高出力265ps/5,800rpm・最大トルク33.7kgm/4,400rpmに高めた「B3 3.2」シリーズが登場しました。同時にMTがZF製の6速に変更されたほか、ステアリングスイッチでの変速操作が可能な5速トルコン式AT「スイッチトロニック」が新設定されました。
パフォーマンスは、セダンMT仕様の場合で最高速度260km/h・0-100km/h加速5.9sに向上しました。さらに、新たなボディバリエーションとして2ドア・ソフトトップコンバーチブル版の「B3 カブリオ」が追加されました。そして1999年、ベースモデルが4代目E46型にフルモデルチェンジされたことにともない、B3シリーズもそれをベースとした新型に移行しました。
日本市場においては、1995年10月にセダン/ツーリング/クーペ/カブリオレが同時に初上陸を果たしました。その後1997年1月に3.2シリーズに移行すると同時に、セダンに「リムジン」の名称が与えられました。