BMW車をベースとしたチューンドカーの生産で知られるドイツのアルピナ社は、1978年に初代「BMW・3シリーズ(E21型)」をベースとしたハイパフォーマンス版「B6 2.8」を発売しました。プラットフォームやボディシェルなどは基本的に3シリーズ譲りであったものの、エンジンや足回り、ブレーキなどに手が加えられ、それを大きく上回る走行性能を発揮しました。
エアロパーツなどにより差別化
ボディタイプは3シリーズ同様の2ドアセダンで、エクステリア・デザインは専用エアロパーツやストライプ、専用アルミホイールの採用などによりベースモデルとの差別化が図られました。駆動方式はベースモデル同様FRで、エンジンは「BMW・528i」用の2.8L直6SOHCをベースに圧縮比アップやデジタル式イグニッションシステム採用などのチューンナップを図ったものが搭載されました。
最高出力は200ps/6,200rpmで、528iから24psの向上を実現していました。トランスミッションはゲトラグ製の4速MTが組み合わせられ、最高速度225km/hの性能を発揮しました。サスペンションはフロント:マクファーソンストラット式/リア:マルチリンク式の形式を踏襲しつつも、非線形スプリングやビルシュタイン製ショックアブソーバーの採用などにより強化が図られていました。
2代目は4ドアセダンに
また、ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式が奢られました。一方、室内はレカロ製シートやモモ製ステアリングホイールなどが装備されました。その後、1981年の一部改良で最高出力が218psに向上しました。そして1983年に、2代目E30型3シリーズをベースとした2代目B6 2.8にバトンタッチされました。
ベースモデルの刷新にともない、ボディタイプは4ドアセダンに変更されました。駆動法式は従来同様のFRで、エンジンは初期型には初代モデル同様の2.8L直6がキャリオーバーされたものの、最高出力は209psにドロップしていました。その後翌1984年に、3.5L直6エンジン(最高出力261ps)を搭載する高性能版「B6 3.5」が追加されました。
3代目が登場するも1年で消滅
そして1987年にB6 2.8が、1990年にB6 3.5が生産終了となり、B6シリーズは一旦アルピナのラインナップから消滅しました。その後2年のブランクを経て、1992年に3代目E36型3シリーズをベースとした3代目B6 2.8iがリリースされました。引き続き4ドアセダンのみがラインナップされたボディのディメンションは、全長4,325mm×全幅1,645mm×全高1,370mm、ホイールベース2,570mmでした。
駆動法式はFRを踏襲、エンジンは車名から推察されるとおりダウンサイジングされ、再び2.8L直6DOHCが搭載されました。スペックは最高出力240ps/6,000rpm・最大トルク29.9kgm/4,200rpmで、5速MTを介して最高速度250km/h、0-100km/h加速タイム6.5sのパフォーマンスを発揮しました。しかし、翌1993年には早くも生産終了となってしまいました。
その後、長らくB6の車名は欠番となっていたものの、12年が経過した2005年に2代目「BMW・6シリーズ」(E63/64型)をベースとした新型B6シリーズがリリースされました。