日産のスペシャリティカー「シルビア」は、1983年8月に5年ぶりとなるフルモデルチェンジを実施し、4代目となりました。直線的なスタイリングを先代から踏襲しつつ、エンジン性能の向上や足回りの刷新など、着実な改良により完成度が高まったモデルとなりました。
リトラクタブルヘッドランプを採用。足回りを改良
ボディサイズは全長4,430mm×全幅1,660mm×全高1,330mmで、先代と大きく変わらないサイズが維持されました。車両重量はグレードによる差が大きくなり、960kg~1,170kgとなりました。スタイリングは、先代同様のシャープなボディラインを踏襲しつつ、新たにリトラクタブルヘッドランプを採用した事で、フロント廻りがよりスマートなデザインとなりました。ボディ形状は、先代同様2ドアノッチバックと3ドアハッチバックの2種類が用意されました。
先代と異なるのは、センターピラーが備わるクーペとなった事でした(先代はBピラーレスのハードトップ)。又、プラットフォームが刷新され、ホイールベースが25mm延長され2,425mmとなりました。サスペンションは、フロントのマクファーソンストラット式は同一ながら、4リンク式のリジッドだったリアサスペンションが、セミトレーリングアーム式の独立懸架となりました。ブレーキは、4輪ディスク式が踏襲されました。
エンジンのラインナップを刷新
エンジンは、1.8Lと2Lが用意される点は先代と同一ながら、1.8L車のエンジンが従来のZ型に変わり、新設計された直4SOHCのCA型に置き換えられました。バリエーションは、キャブレター仕様のCA18S型(最高出力100ps/最大トルク15.2kgm)、燃料噴射仕様のCA18E型(最高出力110ps/最大トルク16.5kgm)、燃料噴射+ターボのCA18E-T型(最高出力135ps/最大トルク20kgm)の3種類が用意されました。
又、2L車もZ型はラインナップから外され、先代の途中から加わった直4DOHCのFJ20型に一本化されました。バリエーションは、NAのFJ20E型(最高出力150ps/最大トルク18.5kgm)とターボのFJ20ET型(最高出力190ps/最大トルク23kgm)の2種類で、1.8Lモデルと併せ都合5種類のラインナップが揃う事となりました。トランスミッションは5速MT及び4速トルコン式ATで、駆動方式はFRが踏襲されました。
装備面では、国産車初のチルトアップ機構付電動ガラスサンルーフやドライブガイドシステム、キーレスエントリーシステムが採用されるなど、先代に引き続き優れたアメニティが備わる事が特徴でした。1986年2月にマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトを行うと共に、2L車が廃止され1.8L車に一本化されました。同時に、トップグレードに新たにDOHC+ターボのCA18DET型エンジン(最高出力160ps/最大トルク21.5kgm)が搭載されました。
4代目シルビアは、動力性能の向上やロードホールディングの改善などによりスポーティカーとしての魅力度が高まったものの、時流を捉えきれず、デートカー路線でヒットした先代ほどの人気は得られませんでした。
先代モデル:3代目シルビア
後継モデル:5代目シルビア