現在、マツダは、国内メーカーの中でも特に勢いのあるメーカーのひとつです。ファン・トゥ・ドライブと環境性能・安全性能を両立させた、独自のスカイアクティブ・テクノロジーを採用した車種を次々とリリースし、評論家や一般ユーザーから高い評価を得ています。
しかし、今でこそ磨き上げたスカイアクティブ・エンジンをセールスポイントにしているマツダですが、かつてはロータリーエンジンこそがマツダの代名詞でした。1960年代、乗用車メーカーとしては後発だったマツダ(当時は東洋工業)が、先発メーカーに肩を並べる為の秘策として、社運を賭けて手掛けたのがロータリーエンジンでした。
ロータリーエンジンの特徴
回転が極めてスムーズで振動・騒音が少なく、排気量当たりの出力が大きい上に小型軽量であったロータリーエンジンは、当時は正に夢のエンジンでした。このロータリーエンジンを開発したメーカーはマツダではなく、ドイツのNSUでしたが、不完全な代物だったロータリーエンジンを完成された工業製品へと昇華させたのは、紛れもなくマツダの功績でした。
例えていうならば、ロータリーエンジンの生みの親がNSUだとすれば、育ての親はマツダだったのです。そして、一時はマツダの多くの車種に採用されたロータリーエンジンでしたが、後に発生したオイルショックにより燃費の悪さが問題視されるようになると、販売は下降傾向になりました。
その後もロータリーエンジンを取り巻く環境は好転せず、2012年に最後のロータリーエンジン搭載車だったRX-8の生産終了を持って、45年に渡る歴史に終止符を打ちました。
ロータリーエンジンを活かす1つの可能性
しかし、ロータリーエンジンの研究開発は継続され、その後モーターショーで発電用ロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーEVを公開し、近い将来の復活を示唆しました。
そして最近は、マツダ自身からの公式発表ではないものの、数年内にロータリーエンジン搭載のハイブリッド車が登場すると噂されています。マツダは現在、トヨタからハイブリッドシステムの供給を受け、アクセラに搭載して販売しています。
今後、ハイブリッド技術を自分の物にした後に、得意としていたロータリーエンジンと組み合わせて市販車に搭載する事も、十分に考えられるという訳です。マツダ製ロータリーエンジンは、日本の自動車工業技術のシンボルでもあったので、是非とも復活を望みたいところです。