1960年4月に発売されたマツダの軽乗用車「R360クーペ」は、オート3輪メーカーとして出発したマツダが初めて市場に送り出した4輪車でした。1958年に発売された「スバル・360」が軽自動車市場で非常に高い人気を獲得していた中で、それより9万円も安い30万円という破格の価格設定が大衆から歓迎され、一時はベストセラーカーになりました。
新車購入ガイド:【2023最新】マツダ2の値引き 納期 乗り出し価格
2+2仕様の軽量ボディ
ボディ形状は独立したリアフードを備える3ボックス型の2ドアクーペで、曲線的なボディラインで構成されたスタイリングは高い完成度を備えていました。ボディの構造はモノコック式で、サイド及びリアウィンドウにアクリルを採用するなど軽量化が図られていました。室内にシートは4座設けられていたものの、後席スペースは子供専用若しくは荷物置き場用のミニマムなものでした。
ボディサイズは全長2,980mm×全幅1,290mm×全高1,290mmで、全長・全幅は当時の軽自動車規格の限界値よりも僅かに小さく纏められていました。他社の軽乗用車と比較すると、クーペを名乗るだけあり全高が低いディメンションが特徴でした。ホイールベースは当時の軽自動車として平均的な1,760mmで、車両重量はほぼスバル・360並みの380~400kgと軽量に抑えられていました。
マツダ R360クーペのCM
新車購入ガイド:【2023最新】CX-3の値引き 納期 乗り出し価格
優れた設計のサスペンション
サスペンションは当時としては先進的で、4輪トレーリングアーム/トーションラバースプリング式による4輪独立懸架を採用した他、フロントにはスタビライザーが設けられていました。駆動方式はRRで、リアフードに搭載されたエンジンは強制空冷360cc4サイクルV型2気筒OHVツインキャブレター仕様でした。アルミニウム合金やマグネシウム合金を使用し、ボディ同様軽量化が図られていました。
スペックは最高出力16ps/5,300rpm・最大トルク2.2kgm/4,000rpmで、最高出力の数値はスバル・360と同一でした。トランスミッションは、1速のみノンシンクロの4速フロア式MTの他、岡村製作所の製造による軽自動車初の2速トルコン式が設定されました。カタログ上の最高速度は90km/hで、スバル・360の83km/hを凌ぎ軽自動車としてはトップの性能でした。
グレードは、まず質素な「スタンダード」がリリースされ、追って1961年2月にデラックスシートやドア内貼り、ホワイトリボンタイヤなどを備え、4万円高価な「デラックス」が追加されました。その後大きな仕様変更もなく生産が続けられ、MT仕様は1966年まで販売されました。又、身体障害者用としての需要があったAT仕様は、受注生産という形で1969年まで販売が継続されました。
R360クーペの長所は、単に価格の安さのみならず、軽量低重心なボディや独特なサスペンションにより高い操縦安定性やロードホールディングを備えていた点にもありました。しかし、実用車としては大人4人の乗車が不可能であった事がハンディとなり、販売面では徐々にスバル・360や実質的な後継モデル「キャロル360」に押されていきました。
多くの人に愛された国民的軽自動車
後席居住性を向上した軽4ドアセダン
新車購入ガイド:【2023最新】CX-30の値引き 納期 乗り出し価格