ロータスは1989年、15年ぶりに「エラン」の名を冠するライトウエイトスポーツカーを発売しました。それに先駆け、トヨタ製エンジンを搭載したFR方式のプロトタイプが制作されたものの、1986年にGM傘下に入った為、市販モデルでは同じGMグループに属するいすゞ製のエンジンが選択されました。また、駆動方式はFFが採用されました。
車体構造は初代譲り
車体の基本構造は、バックボーンフレームにFRP素材がメインのボディを架装する、ロータスが得意とする手法が踏襲されました。サスペンションは、初代がフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:ストラット式であったのに対し、4輪ダブルウィッシュボーン式とされました。ブレーキは、フロントがベンチレーテッド型の4輪ディスクブレーキが採用されました。
スタイリングは、初代同様リトラクタブルヘッドランプを採用して低いノーズを実現、殊更FF車である事を感じさせない流麗なフォルムを備えていました。ボディサイズは全長3,803mm×全幅1,734mm×全高1,230mm、ホイールベースは2,250mmで、初代2シーターモデルと比較すると、全長とホイールベースが100mm以上、全幅が300mm以上拡大されました。
エンジンはNAとターボを用意
車両重量は997~1,020kgで、初代2シーターモデルのおよそ1.5倍に増加しました。フロントに搭載されるエンジンは、いすゞの乗用車「ジェミニ」から流用した1.6L直4DOHC16バルブ電子燃料噴射仕様で、NAとターボが設定されました。スペックは、前者が最高出力130hp/7,200rpm・最大トルク14.5kgm/4,200rpm、後者が最高出力165hp/6,600rpm・最大トルク20.4kgm/4,200rpmでした。
トランスミッションは何れもいすゞ製の5速MTが組み合わせられ、「SE」と名付けられたターボエンジン搭載車は最高速度220km/h・0-400m加速15sの動力性能を発揮しました。因みに、1.6L直4DOHCビッグバルブエンジンを搭載する初代エランの最強モデル「スプリント」は、最高出力128hp/最大トルク15.6kgmのスペックで、最高速度195km/h・0-400m加速15sの性能でした。
2代目エランは、ロータスの目論見通りFF方式ながら非常に優れたハンドリングを備えていました。しかし、ライトウエイトスポーツカーとしては高価であった事や、FF方式はスポーツカーには不向きとされる一般的な風潮、主要なマーケットである北米市場の景気低迷といった諸要素が影響し、販売は振るいませんでした。その為、早くも1992年には生産中止となりました。
その後、GMから経営権を買い取ったブガッティにより、1994年に「エランS2」として再発売され翌1995年まで販売されました。生産台数は双方併せて4,685台で、およそ1万8千台が生産された初代エランには遠く及びませんでした。