トヨタのミディアムクラスセダン「カリーナED」は、4代目「カリーナ」の派生モデルとして1985年8月に発売されました。トヨタ車として初めてピラーレス4ドアハードトップボディを採用したモデルで、カリーナの冠名を持つものの、プラットフォームや基本メカニズムは同時に発売された「セリカ」や「コロナクーペ」と共通となっています。その新鮮なフォルムが幅広い世代に受け入れられ、記録的なベストセラーカーとなりました。
グリーンハウスの小さなボディ
スタイリングは、直線基調のボディラインや角型2灯式ヘッドランプ採用のフロントマスクなど、ピラードセダンタイプのカリーナとも共通するデザインポリシーが採用されました。しかしながら、グリーンハウスの小さい2ドアハードトップ/クーペ風のフォルムを採用した事でイメージが一新され、それまでになかった新鮮味を醸す事に成功しました。
ボディサイズは全長4,475mm×全幅1,690mm×全高1,310mmで、4代目カリーナより125mm長く20mm広く、そして55mm低いディメンションでした。全高は2ドアスペシャリティカーのセリカと比較しても僅か15mm高いだけで、4ドア車としては非常に低いものでした。ホイールベースはカリーナより10mm長く、セリカ/コロナクーペと同一の2,525mmでした。
サスペンション形式はセリカ/コロナクーペ及びカリーナとも同一の4輪ストラット式で、駆動方式も同様にFFが採用されました。発売当初の搭載エンジンは、1.8L直4SOHCが2種類と、「スポーツツインカム」と呼ばれたハイパフォーマンスな2L直4DOHCの全3種類がラインナップされ、トランスミッションは5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
初代カリーナEDのCM
エンジンは後に全車DOHC化
エンジンの仕様や型式・スペックは、1.8Lがセントラルインジェクション仕様の1S-iLU型(最高出力105ps/最大トルク16kgm)、及びフューエルインジェクション仕様の1S-ELU型(最高出力115ps/最大トルク16.7kgm)で、2Lがフューエルインジェクション仕様の3S-GELU型(最高出力190ps/最大トルク21kgm)でした。そして1987年5月に、マイナーチェンジが実施されました。
フロントグリルの奥にフォグランプを内蔵するなどのフェイスリフトが行われた他、上級グレードには「ED」のエンブレムがヘッドランプと連動して発光する「ブライトエンブレム」が採用されました。同時に1S-ELU型搭載車のエンジンが、「ハイメカツインカム」と呼ばれた2L直4DOHCフューエルインジェクション仕様の3S-FELU型(最高出力140ps/最大トルク19kgm)に置換されました。
続いて翌1988年5月に一部改良を実施し、1S-iLU型搭載車のエンジンがハイメカツインカムを採用した1.8L直4DOHCフューエルインジェクション仕様の4S-FiLU型(最高出力115ps/最大トルク16kgm)に置換された事で、全車DOHC化されました。そして1989年9月にフルモデルチェンジの実施により生産終了となり、2代目モデルにバトンタッチされました。
後継モデル:2代目カリーナED