1974年にポルシェ初のターボエンジン搭載モデルとしてデビューしたスポーツカー「911ターボ」は、1999年に3度目の世代交代が行われ、996型となりました。厳しさを増した排出ガス規制に対応するため、伝統の水平対向6気筒エンジンがついに水冷化されました。同時にツインカム化も図られ、性能が一段と向上しました。
空力特性を改善
2+2シーター仕様を踏襲する2ドアクーペボディのエクステリア・デザインは、従来のイメージを継承しながらもエアロダイナミクスが追求され、Cd値は0.03ポイント低い0.31に改善されました。ボディサイズは全長4,435mm×全幅1,830mm×全高1,295mmで、先代993型からそれぞれ190mm×35mm×10mm拡大されました。
また、初代930型以来ほぼ同一に保たれてきたホイールベースは、一気に80mm近く延長され2,350mmとなりました。こうしたディメンション変更に伴い車両重量は40kg増加し、1,540kgとなりました。駆動方式は993型同様のフルタイム4WDが踏襲され、従来同様リアに搭載されるエンジンは排気量も同じ3.6Lでした。
モトロニックME7.8電子燃料噴射装置とKKK製K16タービンを採用し、最高出力420ps/6,000rpm・最大トルク57.1kgm/2,700-4,600rpmのアウトプットを発生、従来の空冷ユニットとの比較では、12ps/2kgmの向上を実現していました。トランスミッションは、993型同様6速MTと5速トルコン式AT「ティプトロニック」が設定されました。
MT仕様のパフォーマンスは、最高速度は従来比で14km/hアップの304km/hとなり、0-100km/h加速タイムは0.1s短縮され4.2sとなりました。一方、ディプトロニック仕様は最高速度298km/h・0-100km/h加速4.9sの性能でした。また、サスペンション形式はフロント:マクファーソンストラット式/リア:マルチリンク式が踏襲されました。
カブリオレを追加
ステアリング形式も従来同様のパワーアシスト付ラック&ピニオン式で、同じく4輪ベンチテーテッド・ディスク式を踏襲するブレーキは、ローターが前後とも8mm拡大され330mm径となりました。また、ホイール&タイヤはフロントが8J×18インチホイール+225/40ZR18タイヤ、リアが11J×18インチホイール+295/30ZR18タイヤの組み合わせで、リアが従来よりもワイド化されました。
その後2003年に、新たなボディ・バリエーションとしてカブリオレが追加されました。そして2004年をもって生産を終了、2006年に次世代の997型911ターボがリリースされました。996型911ターボの日本への初上陸は、2000年3月のことでした。当初は左ハンドルのみの設定で、MT仕様とティプトロニック仕様が用意されました。
その後、2001年9月にティプトロニック仕様に右ハンドル車が設定され、次いで2003年9月にカブリオレ(ティプトロニック仕様のみ)が追加されました。