フォード・モーターは2006年に開催された北米自動車ショーにおいて、リンカーン・ブランドのアッパーミディアム・セダン「MKSコンセプト」を出展、2年後の2008年に市販バージョン「MKS」の販売を開始しました。当初、ミディアムクラスの「MKZ」とフルサイズの「タウンカー」の間を埋めるモデルと位置付けられたものの、のちにタウンカーの廃止により同ブランドのフラッグシップとなりました。
V6 NAエンジン搭載でスタート
プラットフォームはフォード・ブランドの「トーラス」や「モンテゴ」などと共通の「フォード・D3プラットフォーム」で、ボディタイプは4ドアセダンのみのラインナップでした。エクステリア・デザインは、MKZの流れを汲む流麗なフォルムと、翼を広げたような意匠のフロントグリルが採用されました。
ボディ・ディメンションは全長5,184mm×全幅1,928mm×全高1,565mm、ホイールベース2,868mmで、MKZとタウンカーの丁度中間程度の大きさでした。駆動方式はFFとフルタイム4WDが設定され、エンジンは当初3.7L V6 NAの「サイクロン」(最高出力274ps/最大トルク36.6kgm)が搭載されました。トランスミッションは、「セレクトシフト」と呼ばれるマニュアルモードが備わる6速トルコン式ATが採用されました。
サスペンション形式は、フロント:マクファーソンストラット式/リア:マルチリンク式による4輪独立懸架で、オプションで自動で減衰力を変化させる「リンカーン・ドライブ・コントロール」が用意されました。また、ブレーキは前後ともベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。
充実した装備
安全装備面では、SRSデュアル&サイド&カーテンエアバッグシステム、トラクションコントール、ロールスタビリティコントロールなどが採用されました。一方豪華・快適装備としては、レザーシートや運転席・助手席12ウェイパワーシートおよびシートヒーター&クーラー、デュアルゾーン・フルオートエアコン、CDチェンジャーなどが標準装備されました。
さらにパッケージオプションとして、DVDナビゲーションシステムやTHXⅡ認定オーディオシステム、リアビューカメラが備わる「ナビゲーションパッケージ」、HIDヘッドランプや前方検知システム、インテリジェントアクセスシステムなどが備わる「テクノロジーパッケージ」、その両方の装備に加え、デュアルパネルムーンルーフなどが追加される「アルティメットパッケージ」が用意されました。
その後2010年に、3.5L V6ターボの「エコブースト」エンジン(最高出力360ps/最大トルク48.4kgm)が追加されました。次いで2013年のフェイスリフトでエクステリアが変更されると同時に、アダプティブクルーズコントロールやフォワードコリジョンアラート、レーンキープシステム、ブラインドスポットインフォメーションなどの安全装備が採用されました。
そして2015年に生産を終了、翌2016年に後継モデル「リンカーン・コンチネンタル」がデビューしました。