プジョーは1979年、1968年にリリースした「504」の後継モデルとなる中型乗用車「505」を発売しました。基本メカニズムは504及び上級モデル「604」から受け継がれており、結果的に同社として最後のFRモデルとなりました。後に604が生産終了となってからは、それに代わるフラッグシップモデルとしての役割も担いました。
まずはセダンが登場
当初5人乗り4ドアセダン「ベルリーヌ」のみが用意されたボディのデザインは、引き続きピニンファリーナにより手掛けられました。しかし、尻すぼまりの独特なフォルムが特徴的だった504とは異なり、ボクシーかつ外連味のないスタイリングに纏められていました。ボディサイズは全長4,580mm×全幅1,730mm×全高1,450mmで、504から全長が90mm、全幅が40mm拡大されました。
又、ホイールベースは同一の2,740mmとなる一方、トレッドは前後共にワイド化されました。エンジンは当初、504譲りの2L直4OHVシングルキャブレター仕様(最高出力100hp/最大トルク16.4kgm)及び新世代の2L直4SOHC電子燃料噴射仕様(最高出力110hp/最大トルク17kgm)のガソリンNA2種類と、504GLDからキャリオーバーされた2.3L直4OHVディーゼルNAが用意されました。
トランスミッションは、SOHCガソリン車に5速MTと3速トルコン式ATが、それ以外には4速MTと3速トルコン式ATが設定されました。又、サスペンション形式はフロント:マクファーソンストラット式/リア:セミトレーリングアーム式による4輪独立懸架が踏襲され、ブレーキも504/604同様の4輪ディスク式が採用されました。
ワゴンやターボ車を追加
当初のグレード体系は、ガソリンOHVエンジン搭載の「GR」「SR」、同SOHCエンジン搭載の「TI」「STI」、ディーゼルエンジン搭載の「GRD」「SRD」がラインナップされました。そして翌1980年、2.3L直4OHVディーゼルターボエンジン(最高出力80hp/最大トルク18.5kgm)に5速MT又は3速トルコン式ATを組み合わせて搭載する「SRDターボ」が追加されました。
次いで1982年には、全長を4,900mm、ホイールベースを2,895mmに延長した5人乗り5ドアステーションワゴン「ブレーク」と、それをベースにした8人乗りモデル「ファミリアール」がラインナップに加わりました。この両モデルに用意されるエンジンは、最高出力82hp/96hpの2種類の2L直4OHVガソリンNAと、最高出力76hpの2.5L直4OHVディーゼルNAでした。
更に同年、ベルリーヌに2.2L直4SOHCガソリンターボエンジン(最高出力150hp/最大トルク23.7kgm)を搭載する高性能グレード「GTIターボ」が追加されました。追って1983年には、2.2L直4SOHCガソリンNAエンジン(最高出力130hp/最大トルク19.2kgm)を搭載する「GTI」が加わりました。次いで1985年にマイナーチェンジが実施され、インパネの意匠変更と共にATが4速化されました。
同時に、2.8L V6SOHCガソリンNAエンジン(最高出力170hp/最大トルク24kgm)を搭載し、ABSを標準装備する「V6」が追加された他、GTIターボ用エンジンの最高出力が180hpに高められました。そして1989年に後継モデル「605」が登場した事を受け、翌1990年に生産終了となりました。