プジョーは1969年9月、「204」と「404」の間を埋める新型乗用車「304」をリリースしました。204をベースに開発されたモデルで、プラットフォームや横置きFFのイシゴニス式レイアウトなど基本メカニズムが踏襲された一方、ボディは一回り拡大されると共に専用の意匠が与えられました。又、インテリア面でも上級モデルに相応しい差別化が図られていました。
より排気量の大きいエンジンを搭載
ボディタイプは当初、5人乗り4ドアセダン「ベルリーヌ」のみが用意され、そのエクステリア・デザインは204に引き続きピニンファリーナにより手掛けられました。ボディシェルは基本的に204と共通ながらフロント廻りとリア廻りは異なるデザインを持ち、特にフロントマスクは前年にデビューした最上級モデル「504」に類似した意匠となっていました。
ボディサイズは全長4,140mm×全幅1,570mm×全高1,410mmで、204からそれぞれ170mm×10mm×10mm拡大されていました。ホイールベースは同一の2,590mmで、車両重量は15kg重い915kgでした。エンジンは、204に搭載されるガソリン1.1L直4SOHCをベースに、排気量を1.3Lに拡大したものが採用されました。
スペックは最高出力65hp/最大トルク9.6kgmで、4速MTを介しての最高速度は204ベルリーヌより10km/h高い150km/hでした。サスペンション形式は、204と同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式による4輪独立懸架が踏襲され、ブレーキも同様にフロントにディスク式が採用されました。
ボディとエンジンのバリエーションを拡充
そして翌1969年になると、オープン・2シーターの「カブリオレ」とフィクスドヘッド・2+2シーターの「クーペ」、そして5人乗り5ドアステーションワゴンの「ブレーク」がラインナップに加わりました。これらの内、カブリオレ/クーペのボディサイズは全長3,760mm×全幅1,570mm×全高1,330mmで、204カブリオレ/クーペからのサイズ拡大は僅かに留まっていました。
一方ブレークは全長3,990mm×全幅1,570mm×全高1,430mmで、こちらも204ブレークからのサイズ拡大は最小限に留められると共に、リア廻りの意匠も共通でした。次いで1971年10月、ベルリーヌに204用の1.1Lエンジン(最高出力55hp/最大トルク8.4kgm)を搭載する廉価版が追加されました。更に翌1972年3月、カブリオレ/クーペがツインキャブエンジン搭載のカブリオレS/クーペSに移行しました。
エンジンのスペックは最高出力75hp/最大トルク10.3kgmに向上し、最高速度は160km/hに達しました。追って同年7月には、このエンジンを搭載するベルリーヌSが登場しました。次いで1976年7月、ベルリーヌに1.4L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力45hp/最大トルク7.9kgm)搭載車が追加されました。
追って同年9月には、ブレークもこのディーゼルエンジンを選択する事が出来るようになった他、2人乗り3ドア仕様の商用モデル「フルゴネット」がラインナップに加わりました。そして1978年に後継モデル「305」が登場した事を受け、翌1979年3月に全モデル生産終了となりました。