プジョーは1985年、「205」と「305」の間を埋める新型FFハッチバックコンパクトカー「309」をリリースしました。ベースとなったのは205で、プラットフォームやサスペンション、パワートレインなど基本メカニズムが流用されました。
205に勝る空力ボディ
当初5ドアのみが用意されたボディは3ボックス型ノッチバックで、ボディ側面まで廻り込んだリアウィンドウがデザイン上のアクセントになっていました。又、ボクシーなフォルムにも関わらず空力特性に優れ、Cd値は205より0.02ポイント低い0.33を実現していました。ボディサイズは、205より一回り大きい全長4,050mm×全幅1,630mm×全高1,380mmでした。
又、ホイールベースは50mm長い2,420mmに設定されました。エンジンは、まず1.1L(最高出力60hp/最大トルク10.9kgm)、1.3L(最高出力64hp/最大トルク11.1kgm)、1.6L(最高出力80hp/最大トルク13.4kgm)、1.9L(最高出力104hp/最大トルク16.4kgm)の4種類のガソリン直4SOHCシングルキャブレター仕様が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは1.1Lのみ4速MTで、それ以外は5速MTでした。サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット/コイル式、リアがレーリングアーム/トーションバー式による4輪独立懸架でした。そして翌1986年、1.9L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力65hp/最大トルク12kgm)搭載車が追加されました。
高性能版を追加
又、同じ年にガソリン1.6L直4SOHC電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力115hp/最大トルク13.6kgm)搭載車も加わりました。次いで1987年、5ドアと同様に3ボックス型ボディを持つ3ドアハッチバックがラインナップに加わりました。グレード体系は5ドアと同様のグレードの他、ガソリン1.9L直4SOHC電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力130hp/最大トルク16.8kgm)を搭載する「GTI」が設定されました。
このGTIは、5速MTとの組み合わせにより最高速度206km/h・0-100km/h加速8sの性能を発揮する高性能モデルで、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が装備されました。又、同時に5ドア車にガソリン1.6Lエンジン+ZF製4速トルコン式ATを搭載する「GRI」が追加されました。続いて1989年にフェイスリフトが実施され、内外装の意匠が変更されました。
同時に、ガソリン1.9L直4DOHC16V電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力158hp/最大トルク18.4kgm)を搭載し、最高速度220km/h・0-100km/h加速7.8sの性能を持つ「GTI16」が追加されました。そして1993年、後継モデル「306」にバトンタッチして生産終了となりました。日本市場における309は、GTIの5速MT/4速AT仕様と、ガソリン1.9Lエンジン+4速AT搭載の「SI」が導入されました。