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シトロエン 2CV (1949-1990):40年以上愛された偉大なるフランスの大衆車

シトロエン 2CV '49-'61

シトロエン 2CV ’49-’61

シトロエンの大衆車「2CV」は、1948年のパリサロンで発表され、翌49年に発売が開始されました。2CVの企画自体は戦前から立ち上がっており、軽量で経済的、かつ走破性や乗り心地が優れた実用車の実現を目指し、開発が進められていました。その後、第二次世界大戦により一旦プロジェクトが停滞し、戦後ようやく市販モデルとなって登場した経緯を持っていました。

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不器量ながら実用的なボディ

スタイリングは、「コウモリ傘に4つの車輪を付けた形」というコンセプトの元、外観は二の次にして、機能性を最優先したデザインが採用されていました。居住性を確保する為に円弧状のルーフを持ち、ウィンドウ類はコストダウンの為全て平面で構成されていました。又、フロントフェンダーが独立したクラシカルな構造で、ヘッドランプはステーに取付けられボディからは独立していました。

シトロエン 2CV '49-'61

シトロエン 2CV ’49-’61

そして、フランス製乗用車の例に違わず、ドアは4枚設けられていました。その点では、同世代の「フォルクスワーゲン・タイプⅠ」や「フィアット・500トッポリーノ」が2ドアであったのとは対照的で、実用性重視の姿勢が顕著でした。又、ルーフには広い開口部を持つキャンバストップが設けられ、軽量化に貢献すると同時に、開放時は車内に籠る騒音を逃す役目を果たしました。

シトロエン 2CV チャールストン ’81-’90

ボディサイズは、全長3,830mm×全幅1,480mm×全高1,600mmで、後述するエンジンの排気量の割には大柄なもので、全幅よりも全高の数値の方が大きいディメンションも珍しいものでした。この全高の高さは、「山高帽を被ったまま乗車出来る事」という、開発時の条件を具現化した結果でした。ホイールベースが2,400mmと長く取られた事もあり、室内空間は広く、乗車定員である4人がゆったりと座れるスペースが実現していました。

シトロエン 2CV チャールストン ’81-’90

乗り心地と走破性に優れ、経済的

軽量化に腐心した設計により、車両重量は初期型で495kgと極めて軽量でした。サスペンションは、前リーディングアーム式/後トレーリングアーム式による前後関連懸架で、ソフトでありながらピッチングの少ないフラットな乗り心地を実現していました。これも又、開発時の条件の一つに掲げられた「積載した卵が割れない事」という条件をクリアするものでした。同時に、この足回りは悪路走破性も高く、2CVの隠れた長所ともなりました。

シトロエン 2CV チャールストン ’81-’90

エンジンは、空冷水平対向2気筒OHVというシンプルなメカニズムで、発売当初の排気量は僅か375ccでした。最高出力は9psに過ぎなかったものの、最高速度55km/hという実用車として最低限の性能は確保されていました。それと共に、耐久性や信頼性が高く、開発当初の目標通り燃費が優れていた事が特徴でした。その後、排気量が拡大され最終的に602ccとなり、最高出力29ps、最高速度110km/hまで性能が向上しました。

シトロエン 2CV チャールストン ’81-’90

トランスミッションは4速MTで、シフトレバーがダッシュボードから伸び、独特な変速パターンを持つものでした。この変速機は、基本的にモデル末期まで不変でした。駆動方式は、戦前の小型車「トラクシオン・アヴァン」で実績のあったFF方式が採用されていました。同時代の大衆車の殆どが、RR若しくはFR方式であったのと比較すると、時代を先取りした先進的なメカニズムと言えました。

シトロエン 2CV チャールストン ’81-’90

ベストセラー、そしてロングセラーに

2CVは、発売当初こそ奇抜で美観に欠ける外観に拒否反応があったものの、すぐに合理的な設計や経済性・走破性の高さなどが大衆に認められ、ベストセラーとなりました。同時に、安全基準や排気ガス規制をクリアする事が困難になり1990年に生産終了となるまで、40年以上に渡るライフスパンを持つ超ロングセラーともなりました。その間、Cピラーにウィンドウが追加されるなどの小変更の他は、基本的な構造は不変でした。

シトロエン ディアーヌ '67-'83 (出典:wikipedia.org)

シトロエン ディアーヌ ’67-’83 (出典:wikipedia.org)

2CV発売後暫く経ってから、上級モデルの「アミ」や後継モデルとなる筈だった「ディアーヌ」が発売されたものの、2CVの方が人気が高かった為、結果的にそれらの後発モデルの方が先に生産終了となっています。そして、生産終了から4半世紀が経過した現在も、自動車の原点のようなシンプルさから、ヨーロッパ各国や日本を中心に根強いファンが存在します。

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