アルファロメオは1985年に、「ジュリエッタ」の後継モデルとなる小型FR4ドアセダン「75」を発売しました。車名は同社の創立75周年を記念して命名されたものの、当時経営困難に陥っていた為、プラットフォームやパワートレインなど基本メカニズムの多くがジュリエッタから踏襲されました。その一方で、生産性や品質の向上が図られていました。
アグレッシブなスタイリング
アルファ・スタイリング・センターにより手掛けられたスタイリングは、ジュリエッタ譲りの直線基調のウェッジシェイプをアグレッシブなイメージに進化させたもので、非常に強い個性を放っていました。ボディサイズは全長4,334mm×全幅1,660mm×全高1,400mmで、ジュリエッタから全長が124mm、全幅10mmが拡大されました。
ホイールベースは同一の2,510mmで、車両重量もジュリエッタと大差ない1,060~1,260kgに抑えらえていました。サスペンション形式は、ジュリエッタと同一のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:ド・ディオン・アクスル式が踏襲された他、エンジンをフロントに、トランスミッションをリアに搭載するトランスアクスルレイアウトも受け継がれました。
5種類のエンジンでスタート
発売当初用意されたエンジンは、ジュリエッタからキャリオーバーされた1.6L/1.8L/2Lの3種類の直4DOHCガソリンNA及びVM製2L直4SOHCディーゼル・ターボに、「アルフェッタGTV」譲りの2.5L V6SOHCガソリンNAを加えた全5種類でした。最高出力/最大トルクは、ガソリン1.6Lが110ps/14.9kgm、同1.8Lが120ps/17kgm、同2Lが128ps/18.4kgm、同2.5Lが155ps/21kgm、ディーゼル2Lが95ps/19.6kgmでした。
トランスミッションは全車5速MTとの組み合わせとなる他、2.5L車には3速トルコン式ATも設定されました。そして翌1986年に、1.8L直4DOHCガソリンターボエンジン(最高出力154ps/最大トルク22.9kgm)搭載車が追加されました。追って1987年には、2.5L V6に代わり2L V6(最高出力132ps/最大トルク17.9kgm)及び3L V6(最高出力185ps/最大トルク25.1kgm)が設定されました。
同時に2L直4エンジンが、電子燃料噴射化されると共に2本の点火プラグが備わる「ツインスパーク」仕様(最高出力150ps/最大トルク19kgm)に置換されました。更に1988年には、2.4L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力112ps/最大トルク24.5kgm)搭載車が追加されました。同時に1.6L/1.8Lガソリンエンジンが電子燃料噴射仕様となり、スペックは前者が最高出力104ps/最大トルク13.5kgm、後者が最高出力122psとなりました。
次いで1990年にマイナーチェンジが実施され、フェイスリフトと共に3L V6車の最高出力が電子燃料噴射装置の変更により192psに向上しました。そして1992年に、後継モデルの「155」にバトンタッチして生産終了となりました。