ダイハツ工業は1977年にリリースした軽自動車「MAXクオーレ」の後継モデルとして、1980年6月にまず商用4ナンバー登録(いわゆるボンネット・バン)の「ミラ・クオーレ」を発売、追って翌7月に乗用5ナンバー登録の「クオーレ」をデビューさせました。後者は前者には設定のないボディが用意されるとともに、リア・サスペンション形式も異なるなど差別化が図られていました。
ボディは2タイプ
ボディタイプは、3ドアハッチバックのみの設定であったミラ・クオーレに対し、ガラスハッチ付の4ドアセダンも用意されました。スタイリングは、基本デザインを1970年までさかのぼり旧態化が目立っていたMAXクオーレから全面的に刷新され、直線基調の台形フォルムや大きなガラスエリア、スラントした短いノーズなどが備わるヨーロッパ車調のデザインになりました。
一方、3ドアモデルのミラ・クオーレとの外観上の相違点は、わずかなものでした。ボディ・ディメンションはミラ・クオーレと共通の全長3,195mm×全幅1,395mm×全高1,370mm、ホイールベース2,150mmで、MAXクオーレからは全長が35mm拡大され軽自動車規格いっぱいのサイズとなったほか、全高が50mm高められ居住性の向上が実現しました。
4輪独立懸架を採用
サスペンション形式は、MAXクオーレ同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:セミトレーリングアーム式による4輪独立懸架が踏襲されました。一方のミラ・クオーレが、コストダウンのためリアにリジッド・リーフ式が採用されたことと比較すると、乗用モデルとしてのアドバンテージを持っていました。
駆動方式はMAXクオーレおよびミラ・クオーレ同様のFFで、エンジンは従来の4ストローク550cc直2SOHCのAB10型から、その改良型であるAB30型に置換されました。スペックは最高出力31ps/6,000rpm・最大トルク4.2kgm/3,500rpmで、従来から3ps/0.3kgmの向上が図られたほか、ミラ・クオーレに搭載された同ユニットと比較すると2ps/0.2kgm高い数値となっていました。
トランスミッションは当初、4速MTと「イージードライブ」と呼ばれるオートクラッチ式4速セミATが設定されました。また、ステアリング形式はラック&ピニオン式、ブレーキは4輪ドラム式で、タイヤは5.20-10のクロスプライ・タイヤが装着されました。当初のグレード体系は、3ドアが下から「MO」「MG」の2タイプ、4ドアが「MG」「MGE」「MGL」の3タイプのラインナップでした。
M/Cで5速MTおよび2速トルコン式AT車を追加
その後1982年5月にミラ・クオーレとともにマイナーチェンジが実施され、それまでのイージードライブに代わり2速トルコン式ATが設定されました。同時に3ドアの新グレードとして、5速MTと10インチラジアルタイヤが備わる「MGX」が追加されました。そして1985年にフルモデルチェンジが実施され、2代目L70S型に移行しました。
初代クオーレは、ミラ・クオーレに対し前述のような差別化が図られていたものの、税制面のハンディやターボ車および4WD車の追加などが行わなかったことなどから、販売台数は遠く及びませんでした。
先代モデル:フェローMAX/MAXクオーレ