日本を代表するハイパフォーマンスGTカーであった「スカイラインGT-R」は、1969年2月に初代モデル「スカイライン2000GT-R」が3代目スカイラインのトップグレードとしてデビューしたのが始まりでした。この初代モデルはレーシングカー「R380」譲りの高性能エンジンを搭載し、「羊の皮を被った狼」のキャッチフレーズに恥じない国産車トップレベルの走行性能を誇りました。
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前期型はセダンボディを採用
ボディ形状は、当時のスカイラインは4ドアセダンとステーションワゴンのみのラインナップであった為4ドアセダンが採用され、エクステリアもエンブレムの違いを除けばそれまでのトップグレード「2000GT」と大差ない大人しいデザインでした。ボディサイズは全長4,395mm×全幅1,610mm×全高1,385mmで、2000GTより15mm広く5mm低いディメンションに変化しました。
ホイールベースは同一の2,640mmで、車両重量は5kg重い1,120kgでした。サスペンションはフロント:ストラット式/リア:セミトレーリングアーム式の形式を踏襲しつつ、強化型のスプリングとダンパー及びフロントスタビライザーが採用されました。駆動方式はFRで、搭載されたエンジンはR380用のGR8型をベースとした2L直6DOHC4バルブ3連キャブレター仕様のS20型でした。
世界トップレベルの性能
スペックは最高出力160ps/7,000rpm・最大トルク18kgm/5,600rpmで、当時の2L NAエンジとしては世界でもトップレベルの性能でした。2000GTに搭載されていた最高出力115ps/5,600rpm・最大トルク16.5kgm/3,600rpmの直6SOHC2バルブシングルキャブレター仕様のL20型エンジンと比較しても、遥かに高回転・高出力型の特性を持っていました。
常時噛合式ギアを採用した5速MTを介しての動力性能は、最高速度が2000GTより25km/h高い200km/hとなる他、0-400m加速16.1s、0-100km/h加速9.8sの加速性能を持つなど、国産スポーティカーとしてトップレベルのものでした。ブレーキは2000GTと同様のフロント:ディスク式/リア:ドラム式を踏襲しつつ、ブレーキタッチを優先した為マスターバックは廃止されました。
又、デファレンシャルにLSDが組み込まれ、ステアリングレシオがクイック化されるなど、ハンドリング性能向上対策が施されました。インテリアは、木目調のインパネに3連メーターが、同じく木目調コンソールボックスに2連メーターが装備される他、3スポークステアリングやヘッドレスト付フルバケットシートが採用されるスポーティなものでした。
その一方で、ラグジュアリーカーに相応しい快適装備を備えていた2000GTと異なり、ラジオやヒーター、時計さえも備わらないスパルタンな仕様が特徴でした。そして同年10月にマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトや一部仕様変更が行われた後、翌1970年10月のマイナーチェンジによりハードトップボディの後期型にバトンタッチされ、セダン型2000GT-Rは生産終了となりました。