かつてイギリスに存在していた自働車ブランド、MGは、1967年にスポーツカー「MGB」をベースとしたハイパフォーマンス版「MGC」を発売しました。同じBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)傘下にあったオースティンの「ヒーリー3000MkⅢ」の後継モデルとしての役割も担ったものの、短命に終わりました。
車両重量が大幅に増加
プラットフォームは基本的にMGBと共通であったものの、エンジン換装に対応するためフロアパンの強化が図られていました。ボディのバリエーションはMGB同様、ソフトトップが備わる2ドア・ロードスターと、フィクスドヘッドの3ドア・クーペ「GT」がラインナップされました。スタイリングは基本的にはMGBと同一ながら、ボンネットフード上のパワーバルジが相違点となっていました。
ボディサイズは全長3,893mm×全幅1,524mm×全高1,276mmで、MGBから全幅と全高が若干拡大されました。ホイールベースは同一の2,311mmで、車両重量は200kg近く重い1,116kg(※ロードスターの数値)となっていました。また、フロント:ダブルウィッシュボーン/コイル式・リア:リーフ・リジッド式のサスペンション形式に変更はなかったものの、重量増加に対応するため改良が図られていました。
オースティン・ヒーリー譲りのエンジンを搭載
駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンはMGBの1.8L直4OHV SUツインキャブレター仕様(最高出力96ps/5,400rpm・最大トルク15.2kgm/3,000rpm)に代わり、ヒーリー3000からキャリオーバーされた2.9L直6OHV SUツインキャブレター仕様(最高出力147ps/5,250rpm・最大トルク23.5kgm/3,400rpm)が搭載されました。
トランスミッションはMGB同様4速MTが標準で、オプションでOD付4速MTとボルグ・ワーナー製の3速トルコン式が用意されました。パフォーマンスは、標準の4速MT仕様で最高速度193km/h・0-60mph加速10s、3速ATを選んだ場合は最高速度187km/h・0-60mph加速10.9sでした。MGBとの比較では、最高速度が27km/h向上し、0-60mph加速タイムは2.2s短縮されていました(※MT仕様同士の比較)。
ラジアルタイヤを採用
ステアリング形式はMGB同様のラック&ピニオン式が踏襲されたものの、ロック・トゥ・ロックは2.9回転から3.5回転へとスロー化されていました。ブレーキは、MGB同様のフロント:ディスク式/リア:ドラム式が採用されました。また、タイヤはパフォーマンスアップに対応する為、MGBの5.60-14クロスプライからダンロップ製165-15ラジアルに変更されました。
タイヤのワイド化にともない、ターニングサークルは1m大きい11.2mとなっていました。そして発売から2年後の1969年に生産終了となりました。その後、1973年に同様のコンセプトにより開発された「MGB GT/V8」がリリースされました。