かつてイギリスに存在していた自働車ブランド、MGは、1962年7月に「MGA1600MkⅡ」の後継モデルとなる新型スポーツカー「MGB」を発表しました。それまでのラダーフレーム式シャシーに代わりモノコックボディを採用、軽量化を図るとともに、エンジンも排気量拡大などによる性能向上が図られました。
まずはロードスターから
ボディタイプは、当初はソフトトップが備わる2ドア・ロードスターのみの設定でした。スタイリングは、ロングノーズ・ショートデッキのプロポーションを受け継ぎながらも、直線基調のモダンなフォルムに変貌を遂げました。ボディサイズは全長3,893mm×全幅1,516mm×全高1,255mmで、MGAから全長と全高が縮小された一方、全幅は若干ワイド化されました。
ホイールベースは77mm短縮され2,311mmとなり、車両重量は若干軽い920kgとなっていました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンは当初1.8L直4OHV SUツインキャブレター仕様(最高出力96ps/5,400rpm・最大トルク15.2kgm/3,000rpm)が搭載されました。トランスミッションはローがノンシンクロ式の4速MTが標準で、オプションでOD付が用意されました。
動力性能は最高速度166km/h・0-60mph加速12.2sで、1.6Lエンジン搭載のMGA1600MkⅡから若干の向上を果たしていました。サスペンション形式は、フロントにダブルウィッシュボーン/コイル式、リアにリジッド・リーフ式が採用されました。ステアリング形式はラック&ピニオン式を踏襲し、ブレーキもMGA1600MkⅡ同様フロント:ディスク式/リア:ドラム式でした。
3ドアクーペの「GT」を追加
その後1965年に、テールゲートとミニマムなリアシートが備わる3ドア・フィクスドヘッドクーペ「GT」が追加されました。次いで1967年にマイナーチェンジが実施され、「MkⅡ」に移行しました。トランスミッションのフルシンクロ化が図られるとともに、ボルグ・ワーナー製の3速トルコン式ATがオプション設定されました。またダイナモに代わりオルタネーターが採用されたのも変更点のひとつでした。
続いて1969年に登場した「マークⅢ」では、リクライニングシートの標準化などが行われました。次いで1973年、GTのボディにローバー製3.5L V8OHV SUツインキャブレター仕様エンジン(最高出力139ps/5,000rpm・最大トルク26.7kgm/2,900rpm)を搭載し、最高速度201km/h・0-60mph加速7.7sの性能を持つ「GT V8」が追加されました。
続いて翌1974年には、主要なマーケットであったアメリカの新安全基準に対応するため、前後に大型の衝撃吸収バンパーが装着されました。その後アメリカ市場で販売不振に陥ったため、1980年をもって生産終了となりました。後継モデルのリリースはなく、MGブランドのスポーツカーは一旦市場から完全に姿を消すこととなりました。