2007年の生産車における技術、中でも車好きが求める「ドライビングの悦び」という純粋な目的に、その技術がどれだけ貢献しているかということを基準にして考えると、ツインチャージャーシステム「TSI」を選び、これを開発したフォルクスワーゲンのエンジニアを称えたいです。
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排気量の縮小と組み合わせて省燃費に活かす
排気エネルギーを利用するターボチャージャーと機械式スーパーチャージャーの組み合わせというのは決して目新しい技術ではありませんが、それを単にパワーアップのためでなく、排気量の縮小と組み合わせて省燃費に活かすという逆転の発想、そこにスポーティーな味わいを付け加えたことを高く評価した結果です。
TSIユニットを搭載するゴルフGTは2006年春にヨーロッパでデビューし、日本へは2006年末に上陸しました。しかし実際に日本のユーザーの許へ届けられたのは2007年に入ってからです。これまでの加給機付きエンジンとは趣の異なる、まるで2L以上の排気量を備えた自然吸気ユニットのようなパワーとレスポンスを示したからです。
出力だけでなく燃費にも
このBLG型と呼ばれる1.4L TSIユニットは、実際、スペックの上でも従来の直噴2L NAユニット、2.0FSI(BVY型)を凌いでいます。1,389ccの総排気量から生み出される最高出力は170ps/6000rpmに達し、最大トルクは1,500~4,750rpmという広い範囲で24.5mkgを発揮します。
1Lあたりの出力は、BVY型の75.6ps/Lに対してBLG型は122.4ps/Lで、これはゴルフGTIに搭載される2L直噴ターボ(100.8ps/L)をも上回ります。しかも、BLG型は燃費も良いんです。VWが国土交通省に届け出た10・15モードの値は、2L NAのGLi(6段AT)が12.0km/L、2LターボのGTI(6段DSG)が12.6km/Lです。これに対してGT TSI(6段DSG)は15km/Lと、出力だけでなく、燃費にも優れているのです。
そもそもVWが1.4L TSIを開発したのは、厳しい排出ガス規制に対応するためです。そうした目標を達成するためにVWはTSIやFSIといった技術を生み出し、同時に既存の技術とも組み合わせているのですが、こうしたエネルギーや環境に対応するための内燃機関技術は、ハイブリッド自動車や燃料電池車(Fuel Cell)、そしてバッテリーを動力源とする電気自動車にも役立っています。
そのスタンスは各社各様ではあるものの、時代は確実に環境保全、すなわち省エネルギー車を後押ししています。これから先もっと複数のシステムが共存していくことでしょう。
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