日産のスペシャリティカー「シルビア」は、1988年5月に5年ぶりとなるフルモデルチェンジを実施し、5代目となりました。流麗なスタイリングと優れた操縦安定性を実現した事により、デートカーとして、又スポーツ走行用車として好評を博し、歴代モデル中最大のヒット作となりました。
流麗かつワイド&ローなボディを採用
スタイリングは、3代目~4代目モデルの直線を基調としたシャープなイメージから一転し、曲線を取り入れた流麗なものとなりました。又、ボディ形状が2ドアノッチバッククーペ一種類のみとなった他、先代で採用したリトラクタブルヘッドランプを止め、固定式プロジェクターヘッドランプに変更されました。デザインへの評価は高く、通産省のグッドデザイン賞に選定されました。
ボディサイズは全長4,470mm×全幅1,690mm×全高1,290mmで、先代よりも低くワイドなディメンションになった他、乗車定員が先代の5人から4人となりました。車両重量は先代後期の1.8Lモデルよりも重くなり、1090kg~1,160kgとなりました。又、プラットフォームも刷新され、それに伴いホイールベースが50mm延長され2,475mmとなりました。
4輪操舵システムを用意し、エンジンをパワーアップ
サスペンション形式は、フロントは先代同様のストラット式で、リアは操縦安定性の追求に有利なマルチリンク式に変更されました。又、4輪操舵システム「HICAS-Ⅱ」搭載グレードが用意された事も特徴でした。ブレーキは4輪ディスク式を踏襲しつつ、新たにフロントがベンチレーテッド型となりました。駆動方式は、初代からの伝統であるFRが踏襲されました。
当時はスペシャリティカーもFFが主流になりつつあった為、FRである事はセールスポイントとなりました。エンジンは、先代から採用された1.8L直4のCA型をDOHC化したCA18DE型(NA)及びCA18DET型(ターボ)の2種類が用意され、最高出力と最大トルクはそれぞれ135ps/16.5kgm、175ps/23kgmで、先代から向上を果たしました。トランスミッションは、それぞれに5速MTと4速トルコン式ATが用意されました。
日産シルビアのCM (1988)
コンバーチブル追加と排気量アップ
そして、同年7月に日産系子会社「オーテックジャパン」より、ターボエンジン+AT車をベースに、電動ソフトトップを備えるオープンボディを架装した「コンバーチブル」が発売されました。ボディ補強に伴い、車両重量は1,250kgに増加しました。次いで1989年3月に、3ドアハッチバックボディにリトラクタブルヘッドランプを備える姉妹車「180SX」が発売されました。
続いて1991年1月にマイナーチェンジを実施し、内外装の一部変更と共に、エンジンが2L DOHC直4のSR型に変更されました。SRDE型(NA)とSRDET型(ターボ)の2種類が用意され、最高出力と最大トルクは前者が140ps/18.2kgm、後者が205ps/28kgmへと向上しました。又、4輪操舵システムがHICAS-Ⅱから改良型の「SUPER HICAS」に変更されると共に、タイヤサイズの拡大も行われました。
5代目シルビアは、美しいスタイリングと高い走行性能を兼ね備えていた為、デートカーとして利用するムード派ユーザーから所謂走り屋と呼ばれるハード走行系ユーザーまで幅広い層から支持され、歴代シルビアの中で最も販売台数の多いモデルとなりました。
シルビア (5代目 S13)の口コミ評価/インプレッション
フルカスタムの即ドリ仕様を20万円で購入
バイトでコツコツと貯めた資金を使い先輩から中古の車を購入することが出来ました。その車こそが長年欲しいと思っていた日産シルビアS13でした。型落ちも良いところといった車種ではありましたが、ドリ車としては依然高い人気を誇りメンテナンス性・汎用パーツ・カスタム性など様々な点が優れていたことはもちろんのこと、そのルックスに一目ぼれしてしまった車でした。そのことを知っていた先輩から「買うか?」という話を聞いた時には二つ返事で購入を決めました。価格も20万円ということでしたが、フルカスタムの即ドリ仕様というものでした。
乗り心地が悪く彼女や友人には不評だったけど
その当時付き合っていた彼女や友人には不評でした(乗り心地が悪いという理由で)が、ドラテク向上は慢心しなければ自己抑制にも意味があると思っていますし、緊急時の対処に対しての訓練にもなると思っているので価値のある時間だったと思っています。
その後、約3年ほど共に時間を過ごしましたが、サーキット走行中にエンジンがバーストしてしまい泣く泣く廃車にすることになりました。
S13は古い車でしたが、個人的には車体もコンパクトで取り回しが良く、メンテナンス性やランニングコストに優れていたと思っています。
パーツも豊富でドリフト車輌ベースに最適
どうしてもドリフト走行をしたくて、日産5代目シルビアS13 平成2年1800cc Q’s(NAエンジン)を中古で約60万円で購入。友人が同車のNAエンジンを乗っており、同乗させてもらった経験から個人的にNAで十分だと感じ、そして、程度のいい車輌があったことから決めました。
ドリフト車輌ベースにもってこいであり、パーツも豊富であることから、カスタマイズ・チューニングしやすかったです。リアウイングは取り外してスムージング。シフトノブを丸型に変更し、オーディオを社外(カロッツェリア)に。
あと、エアクリーナーをHKSスーパーパワーフローにし、マフラーをFUJITUBOに変更。一定の回転数以上になると、エアクリーナーの音が「ボロボロボロ・・・」というサウンドになり、友人からは好評でした。マフラーを交換したもののサウンド的にはそれほど変化がなく、高回転時のエアクリーナー音がすごい存在感でした。
峠を走っていて、アクセルを踏み込むのがすごく楽しかったです。足回り関係は、kgmのサスペンションにポテンザ改のショートストロークショックを装着。車高は30mmほど落ちました。ハンドリングはそれほどレスポンスが良いとはいえず、ワンテンポ余裕がある感じでしたね。それが私にはちょうどよくて、ドリフト走行時も滑り始めを感じてからの操作で十分。相性が良かったのか素直なクルマだと思いました。
ただ一点、たまにフルカウンターとしなけらばならないことがあったのですが、ホイール・タイヤサイズのせいか、シャーシのどこかに干渉してしまい、すごい力をいれなければハンドルを戻せない状況に何度か陥りました。ホイールの内側があたってシャーシ側の金属部分が削れて溝ができていましたからね。ホイールのオフセットは考えた方がよいかもしれません。
40万円でターボエンジン(CA18DET)に載せ換え
しばらく経って、ターボ車に興味がわいてきてこのシルビアにタービンをつけれないものかと考え始めました。その手のショップに相談してみたところ、「エンジンを載せ換える方法以外ない」という回答を得て検討した結果、同型のターボエンジン(CA18DET)に載せ換えすることにしました。諸々で約40万円。
友人から譲り受けたブリッツのブローオフバルブと他の友人がS12シルビアにつけていたブーストコントローラー、そして、これまで装着していたHKSスーパーパワーフローを載せ換えたターボエンジンに引き継ぎました。
載せ換え時にR33スカイラインの燃料ポンプも入れ、スポーツ仕様になりました。ターボサウンドと加速感、やはりいいものです。いわゆるドッカンターボではなく、比較的フラットに伸びる感じがしました。ドリフトもブレーキングで姿勢を変化させ、アクセルを踏むだけであっさりスライド状態に。
ドリフトキープもLSDは未装着であったものの十分に維持できました。室内は狭めではあるものの、4人乗車で楽しめます。若者が狭い空間でわいわい乗るにはいいかもしれませんよ。
私の思い出の一台。縁があってNAとターボの両方を味わうことができました。ドリフト走行をはじめとする運転スキルを高めてくれたS13シルビア。今は殆ど目にする事が無くなってしまった車輌ではありますが、間違いなく名車であるといえますね。
シルビアの姉妹車:180SX
先代モデル:4代目シルビア
後継モデル:6代目シルビア