1969年1月に初代モデルがデビューしたフォード・モーター(欧州フォード)の2+2シーター仕様スペシャリティカー「カプリ」は、1978年3月に4年ぶり2度目のフルモデルチェンジを受け、3代目モデルに移行しました。車名が先代の「カプリⅡ」からカプリに戻されるとともに、走行性能の向上やボディの空力特性改善などが図られました。
デザインはギアが担当
生産は西ドイツとベルギーの工場で行われ、英国での生産は停止されました。ハッチゲートが備わる3ドアクーペボディのデザインは、カロッツェリア・ギアにより手掛けられ、ファストバックのフォルムや直線基調のボディラインが踏襲された一方で、フロントマスクはヘッドランプが角形2灯式から丸形4灯式に変更されるなどイメージが一新されました。
ボディサイズは全長4,440mm×全幅1,700mm×全高1,320mmで、先代から一回り拡大されました。一方、ホイールベースは先代と同一の2,560mmでした。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがリジッド・アクスル式で、駆動方式はコンベンショナルなFRが踏襲されました。
エンジンは当初、先代からキャリオーバーされた1.3L直4OHV、1.6L直4SOHC(最高出力69ps/最大トルク11.7kgm)、2L V6OHV(最高出力91ps/最大トルク15.2kgm)、2.3L V6OHV(最高出力116ps/最大トルク17.9kgm)、3L V6OHV(最高出力177ps/最大トルク26.8kgm)が用意されました。トランスミッションは、先代同様の4速MTと3速トルコン式ATの他、一部モデルに5速MTが設定されました。
パフォーマンスは、最も高性能な3Lエンジン+5速MT仕様車で最高速度209km/h・0-60mph加速7.5sでした。ブレーキは、フロントは3L車にベンチレーテッド型の、それ以外にソリッド型のディスク式が採用され、リアは全車にドラム式が装着されました。グレード体系は「S」「L」などの基本グレードの他に、先代同様「Xパック」と呼ばれるパフォーマンス向上を図ったパッケージオプションが設定されました。
ターボエンジン搭載車を追加
その後1981年に3L V6OHVエンジンが廃止され、代わって2.8L V6OHVエンジンが設定されました。最高出力162ps/最大トルク22.4kgmの電子燃料噴射NA仕様と最高出力188ps/最大トルク28.5kgmのキャブレター・ターボ仕様が用意され、パフォーマンスは前者が最高速度204km/h・0-60mph加速7.9s、後者が最高速度217km/h・0-60mph加速8sでした。
さらに1983年には、2.8L V6ターボエンジンのアウトプットを最高出力208ps/最大トルク36kgmまで高めて搭載し、最高速度225km/h・0-60mph加速6sのパフォーマンスが備わる高性能モデル「ティックフォード・ターボ」が追加されました。そして1984年に英国以外での販売が終了となった後、1986年12月をもって生産を終了、カプリは17年の歴史に幕を下ろしました。