大衆車「タイプ1(ビートル)」をベースとしたキャブオーバー型商用車として1950年に誕生した「タイプ2」は、1992年に13年ぶり3度目のフルモデルチェンジを受け、「トランスポルター」と命名されたT4型に移行しました。駆動方式がそれまでのRRからFFに転換されると共に、エンジンも伝統の水平対向4気筒から新世代の直4/直5に置換されました。
セミキャブオーバー型ボディを採用
スタイリングは、従来のキャブオーバー型から短いボンネットが備わるセミキャブオーバー型となり、イメージが一新されました。バリエーションとしてロングボディとショートボディ、ノーマルルーフとハイルーフが設定された他、更にパネルバン、コンビバン、ハーフパネルバン、マルチバン、ワゴン(カラベル)、キャンパーバン、ピックアップといった様々なタイプが用意されました。
ボディサイズは全長4,707mm(ショート)/5,107mm(ロング)×全幅1,840mm×全高1,940mm(ノーマルルーフ)/2,430mm(ハイルーフ)で、全幅を除きT3型から一回り拡大されました。又、ホイールベースも大幅に延長され2,920mm(ショート)/3,320mm(ロング)となりました。サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーン式を踏襲し、リアはトレーリングアーム式からセミトレーリングアーム式に変更されました。
エンジンはまず5種類を用意
駆動方式はFFの他に4WDも設定され、エンジンは当初1.8L直4SOHC(最高出力67ps)、2L直4SOHC(最高出力84ps)、2.5L直5SOHC(最高出力112ps)のガソリンと、1.9L直4SOHC(最高出力61ps)、2.4L直5SOHC(最高出力78ps)のディーゼルが用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
そして1993年に1.9L直4SOHCディーゼターボエンジン(最高出力68ps)が、1995年に2.5L直5SOHC直噴ディーゼルターボエンジン(最高出力102ps)が追加されました。次いで1996年にフェイスリフトが実施され、マルチバン/カラベルはノーズが延長されると共に、2.8L V6DOHCガソリンエンジン(最高出力140ps)搭載車が追加されました。
そして2003年のフルモデルチェンジにより、T5型トランスポルターに移行しました。日本市場におけるT4型トランスポルターは、1995年1月から「ヴァナゴン」の車名で導入が開始されました。ボディタイプはショートボディ・ノーマルルーフ仕様の4ドアワゴンで、乗車定員は7名、グレードは「GL」のみのモノグレード設定でした。
搭載エンジンは2.5L直5ガソリンで、スペックは欧州仕様と若干異なり最高出力110ps/最大トルク19.8kgmとなっていました。トランスミッションは、4速ATとの組み合わせでした。装備面では、安全装備としてABSが、盗難防止装備としてイモビライザーが備わっていました。その後、国内販売は1997年5月をもって打ち切られました。