フォルクスワーゲンは1968年秋、1961年にリリースした小型車「タイプ3」の上級車種となる「タイプ4(モデル名411)」を発売しました。空冷水平対向4気筒OHVエンジンやRR方式など、タイプ3譲りの手慣れた機構が採用された一方、同社初のフルモノコックボディや独自設計のサスペンションなど、新機軸も盛り込まれました。
3タイプのボディを用意
ボディタイプは、2ドア/4ドアセダンと3ドアワゴン「ヴァリアント」の3タイプがラインナップされました。ピニンファリーナの息が掛かったスタイリングは、丸型4灯式ヘッドランプの採用によりタイプ3との差別化が図られた他、セダンはタイプ3「1600TL」を彷彿とさせるファストバックのフォルムが採用されました。
ボディサイズは全長4,553mm×全幅1,675mm×全高1,475mmで、全高を除きタイプ3より一回り大きく、ホイールベースは100mm長い2,500mmに設定されました。又、車両重量は100kg以上重い1,020~1,120kgでした。エンジンは、当初1.7Lツインキャブレター仕様(最高出力68ps/最大トルク12.7kgm)が搭載され、トランスミッションは4速MTが組み合わせられました。
サスペンション形式は、タイプ3のフロント:トレーリングアーム/トーションバー式・リア:スウィングアーム/トーションバー式から全面的に変更され、フロントにマクファーソンストラット/コイル式が、リアにセミトレーリングアーム/コイル式が採用されました。又、ステアリング形式はウォーム&ローラー式からリサーキュレーティグ・ボール式に変更されました。
2度に渡りエンジンを変更
ブレーキはフロント:ディスク式/リア:ドラム式が踏襲され、タイヤはタイプ3同様の15インチながら、クロスプライタイヤに代わりラジアルタイヤが装着されました。そして翌1969年、エンジンがボッシュ機械式燃料噴射仕様(最高出力85ps/最大トルク13.5kgm)に置換されると共に、車名が「411E」に変更されました。同時に、3速ATの選択が可能となりました。
次いで1973年、フェイスリフトと共に車名が「412」に変更された他、信頼性に難があった1.7L燃料噴射仕様エンジンに代わり、ツインキャブレター方式に戻した1.8Lエンジン(最高出力85ps/最大トルク13.8kgm)が搭載されました。同時に、車両重量の増加に対応する為ファイナルレシオが下げられた他、タイヤが155SR15から165SR15に変更されました。
そして同年、タイプ3/タイプ4の実質的な後継車種となるFF方式+水冷エンジン採用の「パサート」が登場した事に伴い、翌1974年に生産終了となりました。タイプ4は、旧式な基本レイアウトやアンダーパワーなどが災いし、営業面では失敗に終わりました。