フォルクスワーゲンは1981年、前年のフルモデルチェンジにより2代目となったミディアムモデル「パサート」の派生モデルとなる「サンタナ」を発売しました。ラインナップが5ドアハッチバックとステーションワゴンの2タイプに整理されたパサートの4ドアセダン版と位置付けられ、日本ではヤナセによる輸入販売ではなく、日産自動車によるライセンス生産販売が行われました。
3ボックス型ボディを採用
スタイリングは、初代パサート・セダンが先進的なファストバックスタイルであったのに対し、コンサバティブな3ボックス型が採用されました。ボディサイズは全長4,540mm×全幅1,695mm×全高1,400mmで、ベースモデルである「アウディ・80」より一回り大きく、パサートと実質的に同等でした。又、ホイールベースはアウディ・80より10mm長く、パサートと共通の2,550mmでした。
駆動方式はパサート同様FFで、エンジンは1.3L直4SOHC(最高出力60ps/最大トルク10.2kgm)、1.6L直4SOHC(最高出力76ps/最大トルク12.7kgm)、1.8L直4SOHC(最高出力90ps/最大トルク14.8kgm)、2L直5SOHC(最高出力115ps/最大トルク16.8kgm)のガソリンNAと、1.6L直4SOHC NA(最高出力54ps/最大トルク10.2kgm)及び同ターボ(最高出力71ps/最大トルク13.6kgm)のディーゼルが用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、4速/5速MTと3速トルコン式ATが用意されました。又、サスペンション形式はパサート同様のフロント:ストラット式/リア:セミトレーリングアーム式で、ラック&ピニオン式のステアリング形式やフロント:ディスク式/リア:ドラム式のブレーキ形式も共通でした。
日産版はDOHCエンジン車も設定
グレード体系は、1.3Lガソリンの「CX」、1.6Lガソリンの「LX」、1.8Lガソリンの「GX」「GX 5-Speed」「GX Automatic」、2Lガソリンの「LX5」「LX5 Automatic」、1.6LディーゼルNAの「LX Diesel」、同ターボの「GX Turbo Diesel」がラインナップされました。そして1984年、欧州での販売が終了となった一方で、日本では日産版の販売が開始されました。
日産サンタナのラインナップは、当初1.6Lディーゼルターボエンジン搭載の「1600Lt」「1600Gt」、1.8Lガソリンエンジン搭載の「1800Li」「1800Gi」、2Lガソリンエンジン搭載の「2000Gi5」「2000Xi5」が用意されました。そして翌1985年に最上級グレード「2000Xi5アウトバーン」が追加され、1987年にはマイナーチェンジが実施されフロントマスクが刷新されました。
同時に、2L直5DOHCガソリンエンジン(最高出力140ps/最大トルク17.5kgm)を搭載する「2000Xi5アウトバーンDOHC」が追加され、1600Lt/1600Gt/1800Li/2000Giはカタログ落ちしました。そして1990年5月、ライセンス生産終了に伴い日本での販売も終了となりました。尚、サンタナは中国やブラジルでもライセンス生産が行われ、1990年代以降も独自の進化を遂げながら販売が続けられました。