フォルクスワーゲンのAセグメントハッチバック車「up!」は、2007年9月にフランクフルトモーターショーに出展されたコンセプトカーをベースに市販化に向けた改良を加え、2011年8月にまず欧州で、翌2012年10月に日本で発売が開始されました。コンセプトカーのRR方式からFF方式に変更された以外は基本コンセプトを踏襲し、このセグメントの枠を超えた優れたトータルバランスが特徴となっています。
フレンドリーなデザインのボディ
ボディは3ドアと5ドアがラインナップされ、共に日本にも導入されます。スタイリングは、微笑んだようなデザインのフロントバンパーがフレンドリーな印象を与えると共に、ダークガラスパネルを備えたテールゲートがリアビューのアクセントになっています。ボディサイズは全長3,545mm×全幅1,650mm×全高1,495mmで、全高を除き兄貴分の「ポロ」より一回り小さく、かつて販売されていた「ルポ」とほぼ同等のサイズとなっています。
ホイールベースはルポよりも長い2,420mmで、車両重量は900~920kgと軽量に抑えられています。エンジンは、欧州仕様は2種類のガソリン1L直3及び同排気量の天然ガス仕様がラインナップされたものの、日本仕様は出力が高い方のガソリン仕様(最高出力75ps/6,200rpm・最大トルク9.7kgm/3,000~4,300rpm)のみが導入されました。トランスミッションは、シングルクラッチ式AMT「ASG」が組み合わせられます。
輸入車トップの燃費を実現
JC08モード燃費は23.1km/Lで輸入車としてトップとなる他、CO2排出量も極めて少ない数値となっています。サスペンション形式は、ポロなどと同様の前:マクファーソンストラット式/後:トレーリングアーム式を採用します。インテリアは、ポップなデザインとカラーを持つインパネが特徴で、機能性重視のポロとは大きく異なるイメージに纏められる他、乗車定員は1人少ない4人となっています。
グレードは3ドア車がベースグレードの「move up!」のみ、5ドア車は「move up!」と上級グレードの「hi up!」の2種類が設定され、全車にこのクラス初となる衝突被害軽減ブレーキ「シティエマージェンシーブレーキ」が標準装備されます。一方で、給油キャップの開閉にキーが必要であったり、ドアミラーが手動式、5ドア車もリアクォーターウィンドウがポップアップ式であるなど、コストダウンの為割り切った仕様が特徴となっています。
そして2015年6月、アイドリングストップ機構と減速エネルギー回生システムから構成される「BlueMotion Technology」を全車に採用し、燃費が25.9km/Lまで向上しました。次いで8月には、専用エクステリアによりクロスオーバー風に仕立てた「cross up!」が追加されました。駆動方式はFFを踏襲し、全長と全高がそれぞれ25mm拡大される他車両重量が950kgと若干重くなり、燃費はベースモデルから僅かに劣る25.2km/Lとなります。