フォルクスワーゲンAGは2013年3月に開催されたジュネーブ・ショーにおいて、Aセグメント・コンパクトカー「up!」をベースとした派生モデル「cross up!」を発表しました。プラットフォームやパワートレイン、基本的なボディシェルなどを流用しながら、クロスオーバーSUVテイストの遊び心あふれるモデルに仕立てられました。
最もパワフルなup!用エンジンを搭載
ボディタイプは5ドアハッチバックのみの設定で、エクステリア・デザインはup!のイメージを受け継ぎながらも、シルバーの前後バンパーや樹脂製のホイールエクステンション&サイドモールディング、ルーフレール、16インチの大径アルミホイールの採用などにより差別化が図られました。
ボディサイズは全長3,563mm×全幅1,649mm×全高1,516mmで、up!からそれぞれ23mm×4mm×27mm拡大されました。一方、ホイールベースは共通の2,420mmでした。駆動方式は、SUV仕立てのモデルながらup!同様FFのみの設定でした。エンジンは、up!に用意される3種類のガソリン1L直3DOHC12バルブNAのうち、最もパワフルな最高出力75ps/最大トルク9.7kgm仕様が搭載されました。
トランスミッションはup!同様、5速MTとシングルクラッチ式AMTの5速ASGが設定されました。サスペンション形式は、フロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式の形式を踏襲しながら、ロードクリアランスが10mm高められていました。ブレーキはup!同様フロントがベンチレーテッド・ディスク式、リアがドラム式で、タイヤは185/50R16サイズが装着されました。
衝突被害軽減ブレーキも継承
安全装備はup!と共通で、SRSデュアル&サイドエアバッグシステムやEBD付きABS、横滑り防止装置「ESP」、衝突被害軽減ブレーキ「シティーエマージェンシーブレーキ」、坂道発進をサポートする「ヒルホルダー機能」などが採用されました。また、乗車定員もup!同様に4人となっていました。
一方で、内外装色はcross up!独自のコーディネーションが採用されました。その後2016年にup!にマイナーチェンジが実施されたものの、cross up!は現時点まで変更のないまま継続販売されています。日本市場においては、2015年8月に導入が開始されました。トランスミッションは日本向けup!同様5速ASGのみの設定となるほか、同じく右ハンドル仕様のみが用意されました。
10.15モード燃費は、同じパワートレインを搭載するup!よりも0.7km/L劣る25.2km/Lとなっていました。装備面では、マニュアルエアコンやCDプレーヤー付きカーオーディオシステム、本革巻きステアリングホイール、アルミホイールなどが標準装備されました。