アウディNSUアウトウニオンAGは、1983年にフラッグシップモデル「アウディ・200」に4年ぶり初のフルモデルチェンジを実施し、2代目C3系に移行させました。ベースとなったのは前年に一足早くフルモデルチェンジを受けた「アウディ・100」で、それに準じた空力特性が備わる他、フルタイム4WD方式「クワトロ・システム」採用の高性能グレードが設定された事が特徴でした。
先代から動力性能が向上
ボディタイプは先代同様、100に設定のあった5ドアハッチバックは用意されず、4ドアセダンのみがラインナップされました。スタイリングは、100同様にフラッシュサーフェスボディが採用され、ボクシーな先代より遥かにスマートなフォルムに変貌しました。Cd値は100より0.3ポイント高い0.33となったものの、0.4を切ればセダンとして一流とされた当時においては十分に優れた数値でした。
ボディサイズは先代と実質的に同等の全長4,807mm×全幅1,814mm×全高1,422mmで、ホイールベースは僅かに延長され2,687mmとなりました。サスペンション形式は、先代及び100と同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲されました。駆動方式は100同様に、当初はFFのみの設定でした。
エンジンは当初、先代から2.1L直5SOHC電子燃料噴射NA仕様(最高出力136ps/最大トルク18.9kgm)及び同ターボ仕様(最高出力182ps/最大トルク25.7kgm)のガソリン2種類がキャリオーバーされました。トランスミッションは5速MTと3速トルコン式ATが設定され、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式にアップグレードされました。
こられの内ターボエンジン搭載5速MT仕様車は、最高速度が先代ターボ車を28km/h凌ぐ230km/hに達すると共に、0-60mph加速8.2sという俊足を発揮しました。そして翌1984年、NAエンジンが2.2L直5SOHC(最高出力138ps/最大トルク19.2kgm)に置換されると共に、ターボエンジンにキャタライザー仕様(最高出力141ps)が追加されました。
DOHC20Vターボ車を追加
次いで1985年にはキャタライザー付ターボエンジンの排気量が2.2Lに拡大され、アウトプットが最高出力165ps/最大トルク24.5kgmに向上しました。同時に、キャタライザー無しの182ps仕様ターボエンジンを搭載するフルタイム4WDモデル「ターボクワトロ」が追加されました。車両重量はFFモデルより120kg増加したものの、トラクション性能の向上により0-60mph加速は7.4sに短縮されました。
続いて1988年、キャタライザー無しのターボエンジンの最高出力がMT仕様で200ps、AT仕様で190psに向上しました。更に翌1989年には、2.2L直5DOHC 20Vターボエンジン(最高出力220ps/最大トルク31.4kgm)+5速MTを搭載し、最高速度242km/h・0-60mph加速6.6sの性能を持つ「クワトロ20V」が追加されました。このモデルは、1990年10月から日本市場にも導入されました。
そして1990年に100がフルモデルチェンジを受け4代目C4系に移行すると、翌1991年に200はそれに統合される形で生産終了となりました。