アウディAGは1988年10月、それまでのトップモデル「アウディ・200」の上位に位置する新たなフラッグシップモデル「アウディ・V8」を発表しました。プラットフォームがC3系アウディ・100/200から流用された一方で、新設計のV8エンジンや同社初の4速トルコン式AT、そして全車にフルタイム4WD「クワトロ・システム」が採用されるなど、フラッグシップに相応しい内容を誇りました。
100/200とスタイリングを差別化
ボディタイプは200と同様4ドアセダンのみのラインナップで、スタイリングは一部のボディパーツを100/200と共有しながら、専用のフロントグリルやヘッドランプ、前後バンパー、リアコンビネーションランプ、そしてフレアの付いた前後フェンダーなどにより差別化が図られていました。又、Cd値は200より0.1ポイント高い0.34でした。
ボディサイズは全長4,861mm×全幅1,814mm×全高1,420mmで、全長が200から若干延長され、ホイールベースも僅かに延長されて2,702mmとなりました。サスペンション形式は、100/200と同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲され、ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式が奢られました。
エンジンは当初、3.6L V8DOHC32V NA(最高出力250ps/最大トルク34.7kgm)が搭載され、トラスミッションは5速MT又は前述の4速トルコン式AT(ZF製)が組み合わせられました。最高速度及び0-100km/h加速は、MT仕様が244km/h/7.6s、AT仕様が232km/h/9.9sでした。一方装備面では、本革シートや運転席パワーシート、ウッドパネル、クルーズコントロールなどが標準装備されました。
更にパワフルな4.2L版を追加
そして1990年のマイナーチェンジにより、プラットフォームが同年C4系に移行した100と同一の物に変更されると同時に、ホイールベースを3,020mm、全長を5,190mmに延長したロングホイールベース仕様が追加されました。次いで1991年8月に実施された2度目のマイナーチェンジでは、4.2 V8エンジン(最高出力280ps/最大トルク40.8kgm)搭載車が追加されました。
トランスミッションは6速に多段化されたMTと、従来同様の4速ATが設定されました。動力性能は、最高速度がMT/AT仕様共に250km/hとなり、0-100km/h加速はMT仕様で6.8s、AT仕様で7.7sとなりました。そして1993年11月をもって全車生産を終了、後継車種として翌1994年に「A8」がリリースされました。
日本市場においては、1989年10月にまず3.6Lエンジン+4速AT搭載車(グレード名無しのモノグレード設定)の導入が開始され、1991年10月から4.2L版(同じく4速AT搭載のモノグレード)に切り替えられ、1993年10月まで販売が行われました。